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クロード・ボーリング/フルートとジャズトリオのための組曲

現代のバロック音楽、ジャズとの融合(戻る


暖かな休日の午前、窓を開け放ち、爽やかな空気を部屋に入れてこのCDをかけるのが好きです。 軽やかなフルート、それを追いかけるジャズ・トリオのリズムが心地よく、休日の開放感を味わうにはもってこいです。 ジャズというと夜のイメージがあるのですけれど、フルートの音色とジャズ・トリオの軽やかなリズムがマッチして、現代のバロック音楽といった趣きがします。

この曲の作曲者クロード・ボーリングは、1930年フランスのカンヌ生まれのジャズピアニスト兼作曲家。 ジャンポール・ベルモントとアラン・ドロンが出演した「ボルサリーノ」の映画音楽の作曲者としても知られています。 1970年頃より、ジャズとクラシックを融合させた作品を発表しており、これは1973年作曲。 1987年には第2番も作曲していますので、ボーリングとしてもお気に入りのジャンルなのかもしれません。 ともに、ジャン・ピエール・ランパルが初演しているようですね。

フランスでジャズとクラシックの融合というと、スウィング・シンガースや、ジャック・ルーシェ・トリオをすぐに思い出します。 いずれもバッハなどの作品をジャズにアレンジした作品なのですけれど、ボーリングのこの作品はクラシックとジャズを結合させた新作。 いわゆる現代音楽なのですが、前衛的なところはなく、変な言い方ですけれど、ちゃんとクラシックしています。 生で聴く機会があれば、もっとジャズっぽく演奏するのかもしれませんが、この録音ではちょっとお行儀良いジャズという感もしますが、お気に入りのCDです。 

順を追って簡単に曲を説明すると、以下のような感じでしょうか。

1曲目:Baroque Blue
その名のとおりのイメージの曲。 バロック調のフルートソロのあとジャズトリオが受けてからフルートとジャズトリオによる合奏、その後それぞれ主題を展開、絡み会い、変化にも富んでぐっと惹き込まれます。 最後、フルートの主題が戻ってくるあたりソナタ形式なのかしら。

2曲目:Sentimentale
ピアノソロがしっとりと語り始めたあと、フルートの低音がたまりません。 フルートの旋律がゆったりと変奏され、途中静かだけれどもちょっと熱いセッション、落ち着いた時間が流れます。

3曲目:Javanaise
ジャズトリオの軽やかなリズムが心地よい開始。 フルートが対抗するかのように吹いて、曲を展開。 この中では一番ジャズっぽい感性が感じられる曲かもしれません。

4曲目:Fugace
フルートの軽快なソロでフーガの主題が提示されます。 ピアノが追いかけ、リズムセクションが加わって、ちょっとおどけた感じのする曲。 落ち着いた楽しさがあります。

5曲目:Irlandaise
ゆったりとしたフルートとジャズ・トリオのアンダンテ。 少し昔の歌謡曲か、「みんなのうた」に出てくるような感じもしますね。 これも落着きます。

6曲目:Versatile
ピアノが断片的な短い主題を呈示し、フルートが受けてゆったりと展開。 リズム隊が入ってブルージーな感じがします。 後半、熱く歌います。

7曲目:Veloce
ピアノの断続音にのせてフルートも速いパッセージを吹くマイナー調の開始。 中間部もマイナー調で伸びやかに歌ってから、冒頭の断続音が戻ってきて、熱いセッションとして幕。

全曲通して聴くと約35分、それぞれに上品な趣が感じられます。

なおこのCDでフルートを吹いているのは Jeanne Baxtresser(ジェーン・バクスターって読むのかな)。 ニューヨーク・フィルの首席フルート奏者(女性)で、ミネソタ交響楽団やトロント交響楽団でも首席を吹いていた経歴の持ち主とのこと。 ジュリアードで学び、1985年からは教壇にも立っているそうです。 軽やかで落ち着いた音色はジャズに似合っているのではないでしょうか。

バック演奏は、Eric Robertson Trio (Eric Robertson, piano; Bryan Leonard, bass; Rick Homme, drums) ですが、CDやネットで検索しましたが記載なく詳細不明です。

今は無きIMPレーベル(CALTON Classics)のCDなので入手困難と思われますが、クロード・ボーリングという作曲家の名前は知っておいてもいいかもしれません。