BQクラシックス My Best Quality Classical Music Site 〜 堅苦しいと思われがちなクラシック音楽を、廉価盤レコード(LP)、CD、アマチュアオーケストラ(ブログ「アマオケ大好き、クラシック大好き」)などで気軽に楽しんでいます。
TOP演奏会感想文廉価LPコンサートホールLP廉価CD資料室掲示板
クーベリック/BPOのシューマン交響曲全集

是非ともおさえておきたいシューマンの交響曲全集(戻る


シューマンの交響曲が好きです。 ぼくがクラシック音楽を聞き始めたころは、シューマンの交響曲はオーケストレーションが下手なので、そのまま(楽譜のまま)演奏するとものすごく変な演奏になる。 下手な指揮者が演奏すると聞けたものではない... なんてことが盛んに言われていたように記憶しています。 実際にセルがクリーヴラント管弦楽団を指揮したレコードを聴いてみると、かなり手が入ってて、素人耳にもアレっと思う部分がありますね。 そんなこともあったのか、当時の批評家さんたちは、カラヤン/ベルリンフィルの演奏が流麗で、さすがカラヤンは天下一品、みたいな評価を下されていたようにも記憶しています。

さてここからシューマンの交響曲についての遍歴になりますが、そのころ(今も)貧乏なので、廉価盤でしかレコードが買えません。 当時唯一1,000円盤で全集になっていたのは、テイチクから出たボールトの演奏のみでした。 しかし、雑誌には、イギリス紳士のような演奏、などと評価されていたので躊躇していました(でもあとで聴いてみたらかなり強引な演奏でした)、すると暫くしてフォンタナから(オイルショックで1,300円盤になっていましたが)コンビチュニー/ゲバントハウスのレコードが出たので飛びつきました。 音はちょっとくぐもった感じでしたけれど、骨太で実に堂々とした演奏で、今でもこのコンビによる第4番の演奏は大のお気に入りになりました。 でも当時、貧乏ゆえ1曲1枚主義の時代。 コンビチュニーが最高として、疑わずにこのレコードを繰返して聴いていました。 そんな時代が終わりを告げ、次に買ったのがクーベリック/バイエルン放送交響楽団のレコード。 これも実によく整った演奏ですね。 オーケストラのヴァイオリンを左右両翼に配置した演奏で、ヴァイオリンのフレーズの掛け合いの効果など、この曲のテクスチャを見事に浮き上がらせてくれて感動しました。 新しい発見をいくつもさせてもらった演奏ですね。 オケは巧い、覇気もある、おまけに録音も新しくてすっきりとしているからマイ・ベスト1になりました。

この後はCD時代、色々な演奏を買うようになり、ヴァリエーションを楽しんでいきました。 バーンスタインの新旧盤(だんぜん旧盤の方が素晴らしい)、サヴァリッシュ、マズア、アルミン・ジョルダン(ティムパニを4個使っている曲あるそうですが今だ正体が突き止められません)、インバル、そしてマーラー改訂版のアルド・チェッカート、もちろんカラヤンも買いましたし、既にここでも紹介済みの破天荒なメルツの演奏などなど・・・。 これらはそれぞれに素晴らしい面はあると思っていますが、交響曲を4つ纏めて聴いて素晴らしいのはやはりクーベリック/バイエルンの演奏だと思っていましたが・・・クーベリックがベルリン・フィルを振った旧盤の全集。 この演奏、新盤以上に素晴らしい演奏ではないでしょうか。

話がまたまた飛んでしまいますが、クーベリックが亡くなってから、それまで出ていなかったライヴ録音のCD化が進み、ラファエル・クーベリックのイメージも大きく変わったように思います。 それまでは、中庸で大人の魅力を持った温厚な指揮者というイメージでしたが、今では実演で熱く燃える指揮者、それが一般的な評価になったのではないでしょうか。 生前、そのようなこと聞いたことなかったように思います。 でも、このベルリンフィルを振った演奏を耳にすると、スタジオ録音なのですが、実に熱く燃えているように感じる演奏です。 バイエルンとの演奏では綺麗で、ちょっと上品かななんて思う部分も、とても力強く、ガンガンと飛ばしていくのが印象的です。

個人的に、シューマンの交響曲では、第2番が一番好きなのですが、このベルリンフィルとの演奏もとてもアグレッシヴで素晴らしい演奏だと思います。 なかでも第1楽章から2楽章にかけて、実に素晴らしいドライブ感でどんどんと音楽を追い込んでゆきます。 主兵オケではないせいか(しかも天下のベルリンフィルだからか)、それともグラモフォンの意向のためか(ムラヴィンスキーのチャイコフスキーの交響曲の例でもあったように)ヴァイオリンの両翼配置は行われていませんが、そのためか、右側のスピーカからコントラバスの響きがグイグイと唸っているのが聞こえてきます。 レガートでつなぐカラヤン色が濃くなる前のベルリンフィル、実に力強くクーベリックの指揮に応えているような印象を持ちます。 クーベリックのこの演奏については、あまり話題になることはないように思うのですけれどい、シューマンの交響曲を聴く上では是非ともおさえておきたい演奏だと思います。 どうでしょうか。

1996年頃に堂島ワルツ堂で 1,600円(フランス・グラモフォンの2枚組)