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アンネローゼ・シュミットのグリーグ/ピアノ協奏曲 |
虚飾を排して媚びない硬質なピアノの響き(戻る)
久しぶりにアンネローゼ・シュミットらしい虚飾を排して媚びない硬質なピアノの響きに惚れ惚れとしました。 女性らしい繊細な面は随所に感じるのですが、それがひ弱さとはつながらず、明快な打鍵でぐいぐいと曲を進めていくあたり本当にカッコ良いんです。 分かったような分からない表現なんですけど、旧東ドイツらしい実直さといったものを強く感じる演奏ですね。
このアンネローゼ・シュミットさんについては、最近はまったく動向が伝わってきませんが、1970年代以降何度も日本にも来ていましたね。 また日本コロムビアによる最新のPCM録音でショパンなどを録音していました。 最近ではコロムビア・ミュージック・エンターテイメントのクレスト1000シリーズからケーゲルと組んだブラームスのピアノ協奏曲第2番も出ていますが、これはPCMヨーロッパ録音でしたね(1979年録音)。 この録音もまたブロンドの美人ピアニストという見られかたとは違って、良い意味でとても誠実な演奏だと思います。
ところで今回、海外のサイトを調べてみたら最近のものと思われるシュミットさんの写真を掲載しているページを見つけました(→ココとココ)。 女性の年齢を書くのははばかられますが、1936年生まれとのことですから、まだまだおばあちゃんという年齢ではないと思うのですけどね・・・ 若い頃の片鱗は当然あるもののちょっと時間が経ってしまったなぁと感じてしまいました(自分もまた同じだけ歳とっているのですけどね)。
さて、そんなことより音楽に戻りましょう。 終楽章、速いテンポで前にも書いたように推し進めていきます。 硬質な響きがクリスタルな感じにも思えます。 そしてバックのマズア/ドレスデン・フィルの的確なサポートも好感が持てます。 乏しい語彙力もあって、確実すぎて退屈に思えるかもしれませんが、そんなことはありません。 クラシック音楽の伝統をある意味きちっと伝えていた東欧の演奏らしい自信も感じます。 とにかくあまり話題になることのない録音ですけれど、聴いておいて損のない演奏だと思います。
1991年の新星堂1000円盤企画。 後年徳間から出たものがタワーではまだ入手可能(→ココ)