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喜歌劇楽友協会 第43回定期公演 |
とても楽しめる内容に大満足(戻る)
喜歌劇楽友協会 第43回定期公演
2002年12月7日(土) 17:00 森之宮ピロティホールレハール: 喜歌劇「メリー・ウィドウ」全3幕(日本語上演)
演出:向井楫爾
ハンナ・グラヴァリー:山脇章子
ダニロ・ダニロヴィッチ:細川 勝
ミルコ・ツェータ:山岡史賢
ヴァランシェンヌ:坂本 愛
カミーユ・ド・ロション:ニ塚直樹
カスカーダ:坂本匡司
サン・ブリオッシュ:青砥純司
ヴォグダノヴィッチ:上辻直樹
シルヴィアーヌ:白島 晶
クロモウ:音在弘之
オルガ:藤原麻衣
プリチッチ:森田有起
プラシコヴィア:金川佳永
ニエグシュ:和田垣 究合唱:喜歌劇楽友協会合唱団
管弦楽:エウフォニカ管弦楽団指揮:井村誠貴
研修から自宅に戻って2時間、小雨そぼ降るなか森之宮ピロティホールへ向った。 正直なところ疲れが残っていたけれど、オペレッタならではの軽妙なアドリブを交えた舞台・音楽に満足して癒されて帰ってきた。
喜歌劇楽友協会は歌も踊りも手作りとのことだが、なかなかどうして本場の雰囲気も感じさせる面白くて楽しめる内容に仕上がっていた。 また井村さん指揮によるオーケストラの演奏も舞台にぴったりとはまっていた(第3幕の始めにちょっと台詞と音楽がかぶったところがあったようだけどそれはご愛嬌)。 初日ということもあったのか、第1幕はちょっと手探り的だったけれど(観ている側も助走状態だからか)、内容盛り沢山の第2幕には覇気があって舞台にぐいぐいと惹き込まれていった。 アドリブなども交えた充実した舞台で、ダニロとハンナの心境もまた観客席にまで届き、ちょっとホロリとさせらたりもした。 第3幕は前幕の勢いに乗って押しきった感じだったろうか。 大団円で歌手もじつによく踊り、ぐっと場を盛り上げての終幕となった。 個々の歌手や歌のよしあしなど特定の箇所が気にならず、総合的にとても楽しる内容に仕上がっていた。 やはりこういった舞台は面白くなければダメなのだけれど、この公演はそれを見事にクリアしていて大満足。 何度か繰り返して見たくなるような感じで研修疲れなど吹き飛ばされて家路についた。それでは簡単に公演を振り返ってみたい。 ピン・スポットを浴びて井村さんが登場し一礼するやいないや導入曲の開始。 軽快な演奏のだが、ちょっと堅いかなと思えた。 また幕が開き、舞台のほうもツェータ男爵の歌やヴァランシェンヌの歌「私は貞淑な人妻」など生真面目であったし、ハンナが登場し「私もパリに慣れていないのかしら」、さらにダニロも登場し「だからマキシムに出かける」と続いていったのだが、その他のおしゃべりの部分も含めて、頑張ってやっている…という部分がどこかに見え隠れしがちだったみたい。 まぁストーリーの導入でもあるし初日のせいもあったのだろう。 絞り込んだオケによる音楽はメリハリがあってホルンやトランペットなど金管も軽やかな響きで心地よかった。
休憩をはさんだ第2幕は、舞台も歌も見事にこなれて見ごたえのある舞台になった。 ハンナの「ヴィリア、おおヴィリア」は最後の最後にもうちょっと声が伸びたら…と思っけれど素晴らしい歌だったし、コロの踊りも素敵だった。 このあとシルヴィーヌに「宵待草」、プラシコヴィアにカルメンの「ハバネラ」を歌わせる趣向も入り、特に後者はオケのメンバーも舞台を振り返ってみて笑っていたほど。 また男性陣による「女の研究はやさしくないよ」ではアンコールを2回繰り返して会場内がぐっと盛り上った。 ツェータ男爵とニエグシェの軽妙なやりとりも見事にはまってきた。 特にこのニエグシェの役回りが舞台を引き立てていたようだ。 舞台ももうここまでくると皆さんノッてきたようでぐいぐいと引き込まれていった。 ダニロの「むかし、王子と王女がおりました」では、ちょっとかすれ気味な声で味わいが深まり、ちょっとホロリとさせられもした。 オケによる音楽もまたこのようなストーリーの流れに従って大きなうねりを持っていて舞台をさらに盛り上げていたようだ。
第3幕は、暗転のまま前奏曲が始まったが、これがまた次にくるストーリーを期待させるような抑揚のある生き生きとしたものだった。 特にワルツに入る前にちょっと間をとったあたり、わくわくさせるのに充分で素晴らしい音楽になっていた。 ただ舞台が明るくなって黒幕の前でのツェータ男爵とニエグシェの会話の最後に音楽がかぶってしまいニエグシェに台詞が聞き取れないアクシデントもあったのはご愛嬌(井村さんも笑ってましたね) 。 さて、幕があがってマキシムの踊り子によるダンスはすごい迫力で大団円。 ここではヴァランシェンヌが見事に歌い踊っていたのに吃驚。 また、回わされてまっ逆さまで一瞬止まったときにはちょっとヒヤりとしたけど何事もなかったかのように舞台は進行、しかし本当によく踊って歌っていた(速い場面での足の動きはさすがに踊り子ほど華麗なステップではなかったけど相当な運動量だったのは確か…帰路でも他の観客の方がよく踊ってましたねぇ〜と話題になていたほど)。 さて舞台は大詰めとなって、ダニロとハンナの「唇は黙して」がまた胸にジンとくる歌と音楽で素晴らしく、舞台の最後を見事に締めくくっていた。
全体を通して、最初こそ個々の歌手や歌のよしあしなどを気にしてしまったけど、舞台が進むうちにそんなことが気にならなくなって総合的に楽しる内容にとても満足した。 音楽は、井村さんらしい大きな振りから歌手の表情や舞台景観にあわせた鷹揚な音楽で盛り上げていた(狭いオケピットであんなに大きく振って大丈夫かな、と思えたほどのいつもながらの大きな動き)。、オケはそんな大きいけれど繊細で分かり易い指揮に的確な演奏で応えていた。 管楽器や打楽器は柔らかく、弦楽器もとてもよく纏っていたのが印象に残った。 これなら繰り返して何度か見たくなるような舞台だった。 そんな舞台にとても満足して家路についた。