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オーケストラ・アンサンブル・フォルツァ サマーコンサート2004 |
暑さを吹き飛ばす熱い演奏(戻る)
オーケストラ・アンサンブル・フォルツァ サマーコンサート2004
2004年8月8日(日) 14:00 大阪音楽大学 ザ・カレッジ・オペラハウス
バーンスタイン: 「キャンディード」序曲 J.シュトラウス: 美しく青きドナウ エルガー: 行進曲「威風堂々」第1番 <指揮者コーナー> 「カルメン」で指揮者体験 (指揮:HIKARIちゃん) ドヴォルザーク: 交響曲第9番「新世界より」第4楽章 <休憩> レスピーギ: 交響詩「ローマの松」より、アッピア街道の松 チャイコフスキー: バレエ「くるみ割り人形」より トレパーク、こんぺいとうの踊り、葦笛の踊り、花のワルツ ディズニー・マジック: 映画「南部の唄」より、ジッパディ・ドゥーダー (メドレー) 映画「ピートとドラゴン」より、水辺のろうそく 映画「メリー・ポピンズ」より、チムチムチェリー 映画「シンデレラ」より、夢はひそかに イッツ・ア・スモール・ワールド J.ウィリアムズ: 映画「ET」より、地上の冒険 (アンコール) J.シュトラウス: ラデツキー行進曲
指揮: 今西正和
庄内にある大阪音楽大学カレッジオペラハウスに始めて行ってきました。 色々とコンサートには通ってますけど、このホールには縁がなかったんです。 そんなこともあり、うきうき・どきどきしながら炎天下を歩きました。
演奏会はそんな暑さを演奏の熱さで吹き飛ばすような感じでした。 そう、どの曲も熱演なんです。 もちろん抑えるべきところはしっかりと抑え、ココ一番をタイトに盛り上げていました。 それが最高潮に達したのは、休憩後のローマの松のアッピア街道の松でしょう。 2階席に6名のブラス隊の席が用意されていたのは分かってましたけど、その横の扉を開けて2名のラッパ隊からまず吹いたのには、おおっ、と驚きました(まだ別働隊が居たのかって感じ)。 そしてその後、会場は音の洪水。 そもそもこのホールは円筒形みたいなので、まさに音が渦巻いているみたいな感じでした。 演奏終了後もしばらく客席は興奮が冷めないような感じでした。
さて指揮者は今西正和さん。 劇団四季の指揮者をされていた経歴をお持ちで、だからでしょうね、いずれの曲も旋律には常に歌を意識しているみたいな感じがしました。 そんな今西さんの持ち味が一番よく出ていたのは、冒頭のキャンディード序曲。 この曲、時々演奏会で耳にするのですけど、皆さん張り切りすぎるためか、喧騒の曲みたいな変なイメージが付いちゃってます。 でも今回の演奏は、本当によく歌ってました。 力の入った演奏なんですけど、歌っているからスムーズに次の場面に流れてゆきます。 縦のリズムをうんと強調していても、次の音との隙間がちゃんと埋まってるから音楽にスムーズに乗れるんですね。 この曲をやっと楽しんで聴けることができました。 これは収穫でした。
なお会場には小さなお子さんや、赤ちゃん連れのお客さんも多くいました。 でも演奏の妨げになるような奇声は耳にしませんでしたよ。 またブラスバンドをされている高校生でしょうかね、楽器演奏を真剣に見ている制服を着た女子学生さんも20名ほどいました。 リラックスした雰囲気の中で熱い演奏の数々を堪能しました。 ほんと、いいコンサートでした。
簡単に演奏会をふりかえってみたいと思います。
庄内にある大阪音楽大学カレッジオペラハウスに始めて行ってきました。 色々とコンサートには通ってますけど、このホールには機会がなかったんです。 駅の改札を出て、だいたいの方向を定めて歩き始めました。 目の前が白く感じるような強い日差し。 初めて行くところなのでうきうき・どきどきしながら歩きました。 途中、轟音がしたので見上げると、大きなジェット機が着陸態勢に入ってます。 新大阪駅付近でもよく見かけますけど、大きさが倍以上違いますね。 しばらく歩いて、やっと背の高いホールみたいのが見えてきました。 ホール到着は演奏会開始10分前でした。
ホールではロビーコンサートをやってましたけど、これは割愛させていただいて、さっそく2階席に移動。 けっこう入っていましたね。 補助席も出ていましたし、通路にはブラス隊が陣取るための席がステージに向かって左側に用意されていました。 ぐるっと見渡し、そのブラス隊の前のブロック最前列に空きがあったので、そこに入り込みました。 2階席は8割は入っていたのではないでしょうか。
ステージではオケのメンバーが練習しています。 それがとっても大きな音なんで、アナウンスも聞き取り難いほど。 なお、サマーコンサートらしく、男性は黒ズボンにブルー系のワイシャツにネクタイ姿。 女性は黒スカートまたはパンツで白ブラウスなんですけど、髪に花を挿している方が多くいましたね(好みかもしれませんね、アタシ似合わないから付けないわ、というのもアリなんでしょう)。 とても爽やかな感じを受けたステージでした。
照明が落ちて静かになり、チューニングのあと、にこやかに今西さんが登場。 楽しいステージにしますよ、っていう感じがなんとなく伝わってきましたけど、まさにそんなキャンディード序曲でした。
リズミカルで、活き活きした音楽ですけど、ちゃんと歌がありました。 この曲、時々演奏会で耳にするのですけど、皆さん張り切りすぎるためか、喧騒の曲みたいな変なイメージが付いちゃってます。 でも今回の演奏は、本当によく歌ってました。 力の入った演奏なんですけど、歌っているからスムーズに次の場面に流れてゆきます。 縦のリズムをうんと強調していても、次の音との隙間がちゃんと埋まってるから(決してズレいるんじゃないですよ、念のため)音楽にスムーズに乗れました。 この曲をやっと楽しんで聴けることができました。 これは収穫でした。司会の女性が登場。 今回はさまざまなジャンルの曲を取り上げたとのこと。 そのあと曲の解説をしてくださりながら演奏会が進行してゆきました。 ちょっと口調が堅いかな〜って思いましたけど、けっこうこおいうのって難しいんですよね。
さまざなジャンルの最初はワルツということで「美しく青きドナウ」。 緩急をたっぷりつけた音楽で、遅い部分はかなり遅く、後半は気合を入れて熱いワルツでした。 きっとこれでは踊れないでしょう(笑)。 やわらかくてブリリアントな響きがよく出ていたトランペットがよかったですね。
続いてマーチは「威風堂々」。 この演奏の前、赤ちゃん連れの若夫婦が入ってこられたので着席するのを待って演奏開始。 皆さんにこやかなのがいいですね。 で、演奏はリズム感よく熱いマーチで、楽しい気分なる演奏でした。 ここでも中間部はかなりゆっくりと演奏してましたね。 ホルンが全体の音色によく溶けていたのが印象的でした。 ヴァイオリンが少なめなんですけど、無理せずきちんと纏まった音楽でした。 フィナーレは第2ヴァイオリンの後ろの男性など精一杯弾いているのが見てわかるほど盛り上がってました。
指揮者コーナーは予め決められていたのでしょうか、小学校6年生の女の子(HIKARIちゃん)の指揮によるカルメンの前奏曲。 吹田市交響楽団のサマーコンサートのように公募式のを期待していたんですけどね(別に指揮したいんじゃないんですけど)。 きちんと纏まったカルメンでした。
前半最後は交響曲で没後100年のドヴォルザーク「新世界より」第4楽章。 中音弦の響きがタイトで、ぎゅっと引き締まったなかから熱い音楽が迸り出ていました。 チェロが9人いましたから第1ヴァイオリンの数と同じですね。 またコントラバスの3人はよく揃って芯になっていました。 演奏はここでも緩急を大きくつけていたのが印象的で、後半ゆったりと進めたあと、フィナーレの手前で急速に盛り上げ、すっと退き、ストレートで熱いエンディングを形成していました。 トランペットのフェルマータはやや短めでしたけど、終了後の会場に拡がった静寂がよかったなぁ。 お客さんもとってもいい感じです。
15分の休憩。 2階席に6名のブラス隊が登場し、ステージが明るくなってオケ・メンバーも出てきました。 指揮台の前には譜面台が用意されました(前半は暗譜でした)。 会場は続々とお客さんが入って、1階席は8割、2階席はほぼ満席状態だったのではないでしょうか。
さて交響詩としてローマの松から「アッピア街道の松」。 まさに音の洪水、しかもこのホールは円筒形みたいなので、もう音が渦巻いているみたいな感じの演奏に圧倒されました。 とにかく重量感のある開始から気合充分でした。 コールアングレもエキゾチックな響きで、こりゃ凄い演奏やなぁ〜と思っていたのですけど、2階席に6名のブラス隊の席が用意されていたのは上記のとおり分かってましたけど、その横の扉を開けて2名のラッパ隊からまず吹いたのには、おおっ、と驚きました(まだ別働隊が居たのかって感じです)。 それからあとはもう響きに身を任せているといった感じ。 銅鑼はバチを逆手で持って、膝でリズムを取りながら打ちつづけてますしね、これでもか、これでもかっていう演奏に参りました。
演奏終了後の盛大な拍手のあとも興奮冷め遣らぬといった2階席でした。 特にブラスバンドをやっている学生さんたちは本当に嬉しそうでしたね。 そのため司会のお姉さんの解説も最初の方はほとんど聞けませんでした。
バレエ音楽として「くるみ割り人形」から4曲。 「トレパーク」は前の演奏で疲れたのかな、ちょっとノリがイマイチだったかも。 だんだんと調子を上げてきたようですけど、ちょっと雑な感じも受けました。 「こんぺいとうの踊り」もちょっと慎重に演奏したって感じだったかな。 バスクラリネットはいい響きでした。 「葦笛の踊り」は柔らかいフルート3本と熱のこもったチェロのピチカートが素適でしたね、やっとノッてきたみたいです。 「花のワルツ」は全開でしたね。 豊かで伸びやかなワルツで、楽しくなって一緒に演奏に参加したくなるような感じ。 ピッコロがうっすらと全体の響きの上にのっかてたのもいい感じでした。
ディズニーの音楽から5曲。 今西さんは指揮棒なしで演奏します。 映画「南部の唄」より「ジッパディ・ドゥーダー」で元気よく始まりました。 ここからはドラムセットも加わっています。 映画「ピートとドラゴン」より「水辺のろうそく」は優しく大らかな感じでゆったりと。 映画「メリー・ポピンズ」より「チムチムチェリー」にはサックスも入りまろやかな音楽。 ストリングスという言葉によく合った弦楽器が透明感があって滑るようでしたね。 映画「シンデレラ」より「夢はひそかに」でも伸びやかな弦楽器と柔らかいフルートが印象的。 そしてお馴染みの「イッツ・ア・スモール・ワールド」で元気よく力強いエンディグで纏めました。 会場はとってもリラックスした雰囲気になってました。
最後は映画「ET」から「地上の冒険」。 J.ウィリアムズ自身が編曲し、出会い、追いかけられて自転車で空を飛ぶ場面、別れの音楽という構成になっているそうですね。 今西さんは指揮棒を持ちました。 華やかでワクワクするような開始では、ホルンの斉奏が決まっていました。 遥かな大空を思わせるように、音楽が雄大に流れていきます。 高音弦楽器の数が少ないのですけど、ここでも滑るようなストリングスは健在(もうちょっと数が欲しい気がしたけど欲張りかな)。 最後はテーマが戻って、やはり一回りも二回りも熱い音楽に輝かしいブラスも加わって高揚させたあと、スパっと切り落としたエンディング。 ホールの残響が消えたころ、我に返ったような大きな拍手に包まれていました。
ステージも客席も皆さん笑顔・笑顔・笑顔。 リラックスした雰囲気の中で熱い演奏の数々を堪能しました。 またアンコールのラデツキー行進曲。 手拍子で演奏にも参加できる趣向もあって、ほんとに楽しめた、いいコンサートでした。