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奈良女子大学管弦楽団 '05スプリングコンサート

春の陽射しのように明るく元気のよい演奏会戻る


奈良女子大学管弦楽団 '05スプリングコンサート
2005年4月24日(日) 14:00  いかるがホール

シベリウス: 交響詩「フィンランディア」作品28
メンデルスゾーン: 「真夏の夜の夢」より「序曲」「夜想曲」「結婚行進曲」
メンデルスゾーン: 交響曲第4番「イタリア」 作品90

(アンコール)チャイコフスキー: 「くるみ割り人形」より「トレパーク」

指揮:牧村邦彦


とても良い天気の日、法隆寺のいかるがホールにて元気のいい演奏を聴いてきました。
オケ全体としての纏まりの良さ、誠実さが強く感じられた演奏で、元気が良いといっても単に勢いだけで乗り切ったのとはまったく違う充実した演奏でした。 
冒頭のフィンランディアから粘りのある響きが見事な演奏でした。 底力のあるブラスと張りのある打楽器、弦楽器もまとわりつくようでちょっと遅めのテンポだったでしょうか、力をこめて進み、熱く盛り上げました。
メンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」、前回の演奏会はフィンガルの洞窟とヴァイオリン協奏曲、このところメンデスゾーンが続いていますね。 それはさておき、気合を入れて端正にまとめられた演奏だったかしら。 個人的には「夜想曲」のホルンの響きの雰囲気の良さに聴き惚れました。 確かに若干惜しい場面もありましたけれど、そんなことが全く気にならない気持ちの良い響きと歌いまわし、素晴らしかったですね。 それと「結婚行進曲」、前半はちょっと抑え気味だったファンファーレも中盤から気持ちがよく乗ってきて、輝くトランペットをハイライトに各パートの音が響きあってとても見事でした。 ゆったりとした恰幅の良い音楽として全体を纏めあげていました。 一生懸命さ、誠実さがとても強く感じられた演奏でした。
そしてメインのイタリア交響曲、当日の陽射しのように明るく、でもまだ春の柔らかさを残した爽やかでイキの良さを感じた演奏でした。 冒頭の軽快な軽快な主題のあとの緻密な展開、終楽章サルタレロの集中力の高い真摯な演奏など、ここでもオケとしての纏まりの良さが演奏をぐっと引き締めていました。
2000年のスプコンで初めて聴かせてもらってからなので、もう6年ですか。 入れ替わりもありますけど、技術的にはかなり巧くなっています。 だから以前と違って安心して聴いていられますが、欲を言わせてもらうならば、ちょっとストレートすぎるきらいがあることでしょうか。 学生オケらしい誠実さ、お行儀のよさといえば、そうなんですけれどもね。 そんな贅沢も言ってみたくなるような演奏会でした。


簡単に演奏会をふり返ってみたいと思います。

当日になって何故か一家全員が演奏会に付いて来ることになりました。 いつもの場所とは違う、いかるがホール。 ここに行くのは今回で2回目かな、慣れないこともあり、家族をせかして家を出たものの・・・電車の中で14時開演ということに気付きました。 いつもより30分遅いんですね。 ということで前回とは違うコースにもチャレンジ。 大和郡山経由で近鉄をJRに乗り継ぎ、13時すぎにJR法隆寺駅に到着。 駅前でホールまでの道を思い出すのにちょっと時間がかかりましたけど、正規ルートとは反対側のコースを思い出し、田圃のあぜ道を直線で抜けながら、あっレンゲ、これはスミレかな・・・なんてワイワイ言いながらハイキング気分も満喫してホールにたどり着きました。

開場、中央後ろから5列目あたりに一家4人で陣取ります。 いつもの奈良県文化会館国際ホールだと少なく感じるお客さんも、このホールだとちょうど良いくらいですね。 最終的には7割程度の客席が埋まっていたようです。

開演15分前、団員の方が出てこられて練習開始。 そこで一生懸命シンバルを練習されていたのはSさん。 学生オケなので毎年入れ替わりがあるのですけど、初めて聴かせてもらった2000年からずっと聴かせてもらっていますね。 今回はOGとして参加とのこと(留年ではありません、念のため)。 当時このオケの演奏はよくコケていましたけど(失礼)、このところトレーナーの先生にも恵まれているせいでしょうか、充実した演奏が続いています。 練習に参加されるメンバーの方もどんどんと増え、皆さん真剣に練習されるものだから、開演5分前のアナウンスも最初のほうがちょっと聴き取りにくいほど。 この真剣さ、演奏への期待が高まります。

定刻、コンミスが登場してチューニングのあと、にこやかな笑みをたたえながら牧村さんがゆっくりと歩いて登場。 一礼のあとさっそく始まります。

シベリウスのフィンランディア、粘りのある響きが見事な演奏でした。 底力のあるブラスと張りのある打楽器、弦楽器もまとわりつくようで、ちょっと遅めのテンポだったでしょうか。 
冒頭より重量感を感じるブラス、タイトな打楽器、低弦も芯になって迫力ありました。 木管楽器が爽やかに奏で、高音弦楽器が粘りつくような響きでとても充実した開始。 ゆったりと、力をこめて歌い込むようです。 よく見たら牧村さん、指揮棒なしで振っておられました。 
渋いブラスの響きに底力を感じます。 ティムパニが重い響き、シンバルも響きを抑えてストイックで力強い演奏でクライマックスを構築。 凝縮したような音楽となって迫力ありましたね。 
中間部、木管楽器が柔らかく暖かな響きながら端正にまとめますが、もうちょっと艶っぽさが欲しかったかな。 弦楽器が爽やかに演奏してから低弦と大太鼓が芯になります。 弦のアンサンブルもしだいに熱く歌い込み、重い響きの打楽器とよく締まって熱いブラスによる堂々たる賛歌、力強いフィナーレで全曲を締めました。 熱い音楽でした。

ステージが暗転、メンバーの一部シフトしてコンミスも交代しました。 そして牧村さん、今度は指揮棒を持って登場します。

メンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」の音楽より「序曲」「夜想曲」「結婚行進曲」の3曲、いずれも気合を入れて端正にまとめた演奏でした。 個人的には「夜想曲」のホルンの響き、その雰囲気の良さに聞き惚れました。 確かに惜しい場面もありましたけれど、 そんなことが全く気にならない気持ちの良い響きと歌いまわし、素晴らしかったですね。 それと「結婚行進曲」、前半はちょっと抑え気味だったファンファーレも中盤から気持ちがよく乗ってきて、輝くトランペットをハイライトに各パートの音が響きあってとても見事でした。 ゆったりとした恰幅の良い音楽として全体を纏めあげていました。 一生懸命さ、誠実さがとても強く感じられた演奏でした。

「序曲」、フルートなど木管の爽やかな響き、緊張からかちょっと乱れたみたいですが、弦のトレモロやピチカートも瑞々しい開始でした。 それがストレートに盛り上がってゆく誠実さがよく伝わってくる演奏でした。 弦楽器の各パートがよく溶け合っていてよかったですね。 
このあと、管楽器と打楽器がやはりストレートいぐいぐいっと盛り上がったものの、弦楽器がどこか単調でイマイチ噛み合っていないようにも感じた場面もあったようですが、指揮者の牧村さんを見ていても端正に纏めることに終始されていたみたい。 序曲とはいえ10分ほどあり、ヤマ場・見せ場を作るのがちょっと難しい曲ですものね。

「夜想曲」、ホルンとファゴットによる開始、そのホルンのフレーズに耳を奪われました。 とにかくその雰囲気の良さに聞き惚れました。 もちろんファゴットや裏ではチェロとコントラバスがそっと奏でてサポート、ゆったりとしほのぼのとした感じで気持ちが和んでいった瞬間でした。 弦楽器も見事にそれを引き継いで、豊かで爽やかな音楽。 そしてまた素適なホルンが戻ってきたあと、最後は端正にまとめたエンディングとなっていました。 

「結婚行進曲」、有名なファンファーレは柔らかな響きで見事。 弾力のある音楽は、堂々としていながらも清清しくもあります。 ちょっと遅めのテンポでゆったりを歩みを進めてゆきました。 弦楽アンサンブルが活気づいてきて、再度有名なファンファーレは、輝くトランペットをハイライトにして各パートの響きが混ざり合って纏まったとても素晴らしい音楽。 浮ついたところなどなく、弦と管が見事によく混ざり合っていましたね。 集中力を絶やすことなくエンディグも見事に決めました。

15分の休憩。 パンフレットを読んでいたら、コントラバスに西出昌弘という懐かしいお名前を発見。 10年以上前、大阪シンフォニカーに参加されていた頃から聴かせてもらっていますが、当時から若い人と一緒に演奏されるのがお好きだとのこと(大阪シンフォニカーも今よりもっと若かった)。 最近では時折学生さんに混じってステージに立たれているのをお見かけすることがありました。 けど、今回いらしたのかなぁ・・・と、よくよく見たら訂正が入っているようでした。 ちょっと残念ですが仕方ないですね。

メインのイタリア交響曲、当日の陽射しのように明るく、でもまだ春の柔らかさを残した爽やかでイキの良さを感じた演奏でした。 冒頭の軽快な軽快な主題のあとの緻密な展開、終楽章サルタレロの集中力の高い真摯な演奏など、ここでもオケとしての纏まりの良さが演奏をぐっと引き締めていました。 

第1楽章、爽やかでイキの良い音楽の開始。 瑞々しいヴァイオリン、中低弦も柔らかく響いてきて、そこにティムパニの小気味良さが絡まって陽光が降り注ぐような見事な滑り出し。 クラリネットの柔らかさ、オーボエの可憐に歌い、トランペットが抑制を効かせつつも光を差し込むように響いて盛り上げます。 牧村さんは常に冷静に振って、緻密に旋律を展開。 最後は、力強く熱いフィナーレを形成しました。

第2楽章、コントラバスが常に熱く響き、オーボエ、ファゴット、ヴィオラも熱気を孕んだように音楽を進めます。 前の楽章の熱さが残っているのでしょうか。 音量がやや大きく、テンポもちょっと速めだったかしら。 牧村さん、ヴァイオリンに向かい、歌うように振ります。 低弦を中心に熱い音楽がとうとうと流れてゆきました。 

第3楽章、流れるように進むのか、と思っていたら、響きを充分に溜めた優雅なメヌエットといった感じ。 ちょっと遅めのテンポかな、大きく呼吸するようにじっくりと歌い込むかのよう。 中間部のホルン、朴訥な響きで柔らかに吹いて良かったですね。 弦楽器と木管が爽やかに絡んだあと、再度ホルンの素適な響きでタイトな音楽へと変身。 でも大きく呼吸するかのようなのは変わらず、巧妙に絡み合わさったエンディングも見事に決めました。

第4楽章、集中力の高いタイトな開始。 中低弦のしっかとした強靭さのある音楽を中心に据え、管楽器が裏にまわってタイトに吹いてサポートしている感じでしょうか。 牧村さん、あまり動かず、求心力を高めているようでした。 端正で真摯な音楽。 欲を言わせて貰うならば、もう少し渦巻いて巻き込むような粘りのようなのが欲しいところですけど、充分に熱くストイックな感じすらします。 冒頭のサルタレロの舞曲に戻り、全員一丸となったエンディングを形成して締めました。 熱く締まった演奏は見事でした。

これに比してアンコールのトレパーク、牧村さんが鷹揚に振り、ノリノリで、オケのパートの自主性に任せた演奏。 ちょっとやりすぎなのはアンコールだから楽しんでね、という趣向ですね。 本割の演奏にもこんな自主性みたいなのが漂ってきたなら、もっと素適な演奏になるのかなぁなどと思いつつホールを出ました。 とにかく巧くなったらなったで欲望はつきません。 それがまた演奏会の楽しさなのですけどね。 とにかく皆さんお疲れさまでした。