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オーケストラ・ソノリテ 第9回定期演奏会 |
聴き手に訴えかける演奏会(戻る)
オーケストラ・ソノリテ 第9回定期演奏会
2005年8月28日(日) 14:00 いたみホールウェーバー: 「オベロン」序曲
シューベルト: 交響曲第8番「未完成」(ベーレンライター版)
ドヴォルザーク: 交響曲第7番(アンコール)ドヴォルザーク: ユモレスク
指揮: 井村誠貴
いつもながらの(いつも以上かも?)井村さんらしい聴き手に訴えかける演奏会でした。
冒頭のウェーバーのオベロン序曲から大きく抑揚をつけたダイナミックな演奏を楽しみました。 冒頭のホルンがいい響きで開始して丁寧に音を紡いだあと、井村さんの左足で踏み込む音の大きさが気合の強さを物語っていましたね。 轟音といってもいいくらいの足音に導かれ、あれよあれよって言う感じの速い音楽が迸り出てきました。 しかもそれを、すっ〜と引き込むように収めて、またダイナミックに盛り上げ、音楽を聴きながらワクワクしどおしでした。
続くシューベルトの「未完成」、後期ロマン派のような感じのする熱い演奏でした。 音楽がうねっていましたね。 この曲、名曲なので耳にすることも多いのですけど、これほどまでに曲の偉大さを伝えるような演奏に接したのは初めてじゃないかしら。 ベーレンライター版だとパンフレットに書いてありましたけど、スコアの違いよりも、指揮者とオケのやる気がバンバンと伝わってきた熱演でした。 十九世紀的とか、大時代的、そんな感じを持たれた方もいらっしゃるかもしれませんけれど、濃い演奏でも躍動感はいつもどおり。 今回の演奏会の中ではこの演奏が一番充実していたのではないでしょうか。 気に入りました。
そしてメインのドヴォルザークの交響曲第7番、こちらもまた未完成と同傾向の熱い演奏でした。 ただし、両端楽章、特に第1楽章にかなりチカラが入っていたようですけど、中間楽章はやや大人しく纏めていたように感じました。 終楽章、低弦も頑張っていましたけど、もう少し数がいたなら(4名でしたものね)粘りも出てきて、より感動的になったかもしれません。 でも拍をズラす部分、あっさりと何事もなかったのように通り過ぎる演奏も多いのですけれど、さすが井村さん、ここで身体を丸めて力を込めてました。 ダイナミックに曲を起伏させて、聴き手に訴えかける熱い演奏を楽しみました。
音楽をたっぷりと堪能したって感じの、いい演奏会でした。
簡単に演奏会をふりかえってみたいと思います。
長男と自宅をちょっと早めに出て、伊丹市昆虫館に行こうと思ったのですけど、ずいぶんと遠いんですね。 初めてなのに、歩いて行こうなんていうのが無謀だったかしら。 たどり着いても演奏会には間に合いそうもないので途中で引き返し、図書館で15分ほど本を読んで休憩。 その後、食事をしてからホールには開演10分前に滑り込みました。 随分と歩いて疲れたうえに、お腹がいっぱいになってて、演奏会には悪コンディションですね。
ホールに入ると迷わずに2階席に上ります。 特にこのホール、1階席の奥行きが狭いので、余計に2階席狙いです。 他のお客さんもそのことをよく知っているのかな、2階席でも4割位入っていたと思います。 中央通路の後ろ側最前列、右ブロック 26-33 に陣取り、開演を待ちます。
定刻、団員の方が整列入場します。 通常配置で、弦楽器が 12-11-7-8-4 のようです。 そして、管楽器に向かって右側にティムパニ、左側にホルン軍団が座っていました。 チューニングを終え、そのホルン軍団の後方にある扉から井村さんが登場して開演です。
ウェーバーのオベロン序曲から大きく抑揚をつけたダイナミックな演奏を楽しみました。 冒頭のホルンがいい響きで開始して丁寧に音を紡いだあと、井村さんの左足で踏み込む音の大きさが気合の強さを物語っていましたね。 轟音といってもいいくらいの足音に導かれ、あれよあれよって言う感じの速い音楽が迸り出てきました。 しかもそれを、すっ〜と引き込むように収めて、またダイナミックに盛り上げ、音楽を聴きながらワクワクしどおしでした。
指揮棒を持たずに振りはじめますと(この後もすべて指揮棒なしでした)、まろやかで張りのあるホルンの響きが素晴らしい開始。 しかも、柔らかな弦楽器のトレモロ、輝きを放つようなフルート、それに甘いトランペット・・・この最後はちょっと不安定な感じもしましたけど、丁寧に音を紡いで、慈しむように進めます。 そして、轟音とも言える足音を合図に(って、予想外に大きな音だったと思いますけど)、大きな音量で速い音楽が迸り出てきました。 おおっ、速い速い。 トロンボーンなどもリキ入ってましたね。 これをすっ〜と収め、またゆったりとした音楽に戻ります。 ここではクラリネットの響きが素適でした。 集中力がまったく途切れないまま、徐々にまた音量を上げてゆきます。 今度は少々抑え気味だったかしら。 でも大きく抑揚を付け、音楽を大づかみみしては、放つような感じ。 ダイナミックに音楽を盛り上げてゆきます。 オケもそれに従って大健闘。 響きに深さが感じられます。 ワクワクしながら音楽を聴き、最後も大きく巻き込むようにして纏めて The END 。 とても聴き応えのある演奏でした。
管楽器メンバーが大勢抜けたあと一部入れ替わりました。 あとヴィオラ奏者も1名増えて準備完了。 井村さん、ハンカチを握って指揮台に向います。 一礼のあと、コントラバスに向かって手を挙げて構えましたけど、いったん戻して沈思黙考。 機が熟するのを待って手を振りはじめました(先にも書いたとおり指揮棒を持っていません)。
シューベルトの「未完成」、後期ロマン派のような感じのする熱い演奏でした。 音楽がうねっていましたね。 この曲、名曲なので耳にすることも多いのですけど、これほどまでに曲の偉大さを伝えるような演奏に接したのは初めてじゃないかしら。 ベーレンライター版だとパンフレットに書いてありましたけど、スコアの違いよりも、指揮者とオケのやる気がバンバンと伝わってきた熱演でした。 十九世紀的とか、大時代的、そんな感じを持たれた方もいらっしゃるかもしれませんけれど、濃い演奏でも躍動感はいつもどおり。 今回の演奏会の中ではこの演奏が一番充実していたのではないでしょうか。 気に入りました。
第1楽章、締まった低弦の響きが訴えかけるような開始。 オーボエの物悲しい旋律にも艶が感じられて充実した音楽が流れ出しました。 ホルンの暖かな響き、チェロの旋律もよく纏まっていましたし、ヴァオリンが爽やかに奏でたあと、ハナ息を合図にこれを切り落とし、力強く大きな音量でぐいぐいと盛り上がってゆきます。 ややストレートな感じがしましたけど、熱い想いが伝わってくるようです。 井村さんの動きがダイナミックになり、音楽をうねるように流れさせてゆきます。 この流れが滞らないのがいいですね。 しばし音楽に身を任せて音楽に浸ります。 クライマックスではトロンボーンの強奏、ティムパニの堅い打音、そしてヴァイオリンのフレーズの最後に力を込めて弾かせていたのも印象的。 そして主題再現部、ここでもとうとうと音楽を流してゆきます。 ちょっとホルンの響きが上ずっているように聴こえたのは奏者の方の熱い想いが先走ったからでしょうね。 でもすぐにまた甘い響きで挽回。 そんな熱い音楽のままタイトに盛り上げて、よく締まった重厚な終了でした。
第2楽章、中低弦を見て振りはじめますと、柔らかなコントラバスのピチカート、しっとりとした開始です。 ここからやや鋭角的な感じで盛り上げてゆきました。 木管楽器、とくにフルートとファゴットの絡みが良かったですね。 もちろんクラリネットもしみじみとしたソロでしたし、オーボエは凛とした響きで素適です。 ここでもハナ息を合図に力を込めて熱っぽい音楽になります。 弦楽器の分奏がとてもしっかりとしていて決まっています。 主題がもどり、しっとりとした感じに戻りますけど、熱気は孕んだまま。 そしてぐぃっと盛り上げると熱気を吹き出すよう。 ここでもフルートとファゴットが健闘していました。 フルートがとても綺麗な音色なんですけど、この裏で吹くファゴットもまた素適でした。 音量を下げても枯れたような感じのしない熱っぽい音楽のまま。 井村さん、左手でヴァイオリンに力を入れます。 そして最後まで熱気を孕んだまま、ふわっと着地。 ホールに静けさが漂ったあと、次第に大きな拍手に変わりました。 充実した演奏でした。
15分の休憩。 アナウンスでは「約15分間」なんて言ってましたけど、きっかり15分たって団員の方が入場。 弦楽器の編成は、12-12-8-8-4 だったようです。 チューニングを終え、井村さんがまた指揮棒を持たず、ハンカチを持って入場して始まります。
ドヴォルザークの交響曲第7番、こちらもまた未完成と同傾向の熱い演奏でした。 ただし、両端楽章、特に第1楽章にかなりチカラが入っていたようですけど、中間楽章はやや大人しく纏めていたように感じました。 終楽章、低弦も頑張っていましたけど、もう少し数がいたなら(4名でしたものね)粘りも出てきて、より感動的になったかもしれません。 でも拍をズラす部分、あっさりと何事もなかったのように通り過ぎる演奏も多いのですけれど、さすが井村さん、ここで身体を丸めて力を込めてました。 ダイナミックに曲を起伏させて、聴き手に訴えかけるような熱い演奏を楽しみました。
第1楽章、冒頭ややざわついた感じだったかしら、でもすぐにヴィオラによる集中力の高い演奏から中低弦のよく締まった熱い音楽になりました。 音楽が大きく動き、うねるような感じで進みます。 井村さんの音楽、ここでも熱くなっても野放図じゃなく、中低弦の弾むようなリズムに乗せて音楽が見事に流れさせてゆきますね。 タイトに盛り上がっては、ダイナミックに歌う熱い音楽。 オケも指揮に応えて想いを乗せて演奏を繰り広げているようです。 フィナーレもグィグィとのって、タイトなティムパニの打音と金管ファンファーレ。 力を溜め込むような感じで盛り上げたあと、じっくりと音楽を熟成させるようにしてこの楽章を終えました。
第2楽章、クラリネットとファゴットの暖かな響き、弦のピチカートが柔らかく響いたあとうねるような音楽となります。 じっくりと進めてゆきますが、これまで頑張ったせいか少々集中力が途切れたかも。 でもホルンの斉奏がまろやかに響き、ヴァイオリンを中心に盛り上がって音楽にうねりを出しています。 クラリネットのソロがよかったですねぇ、ホルンも雄弁だし、フルートの綺麗な音色で心洗われます。 井村さんはこれらを纏め、リズミカルに盛り上げてゆきます。 心地よい音楽。 金管が入ってタイトに盛り上がります。 やや乱れた面もあったようですけど、すっと退いて木管アンサンブルがまた見事でした。
第3楽章、ヴァイオリンのほうを向いて振り始めますと、艶やかな弦の響きが流れだしました。 しだいに大きく振って音量を大きくし、流暢に音楽を流れに乗せて進めます。 ストイックな感じで盛り上げるのですど、こおいう場合でも井村さんの場合には物理的な時間の隙間があっても音楽の前後の流れが途切れないんですね。 安心して音楽の流れに乗っていられます。 ただしこの楽章では響きが薄くなると、やや散漫な感じを持ちました。 音量が上がると元気になるのですけど、響きが薄くなるとやや型どおりに進めていったような印象かしら・・・もっとも、聞き手としても疲れが出てきたみたいで集中力が続かなくなってきてましたけど(すみません)・・・エンディングでは井村さんは大きく振ってオケを合わせ、力を込めてオケを乗せたあと、右手でグィと踏ん張って止めました。
第4楽章、アタッカでそのまま振りかぶります。 徐々に盛り上げてゆき、パワーを感じさせる盛り上がり。 トランペットがよく締まっています。 更に力を込めて、ティムパニの一撃が実にタイトでカッコ良かった。 音楽が走り始めます。 最初こそちょっと合わせているって感じがしましたけど、徐々に動きが出てきました。 力強く進め、拍をズラす部分、井村さんが大きな身体を丸めるようにして力を込めて進めます。 あっさりと何事もなかったのように通り過ぎる演奏も多いのですけれどね。 いいですね。 このあたりから熱気も増してきたようです。 すっと音量を絞ってから、また徐々に集中力を高めてゆきます。 トロンボーンの響きに気合が感じられました。 井村さん、今度はヴァイオリンに力を入れ、抑揚をつけながら曲を進めます。 このあたり低弦がもう少しあると粘りも出たのかもしれませんね。 ホルンの斉奏に乗せてヴォルテージ・アップ。 リズムを先と同じように力をこめてズラします。 音量が更に上がって、速度も増しました。 井村さんの大きな動きで拡がった音楽、最後はこれをすっと纏めて集中力の高いエンディングで止めました。
途中、いろいろと書いてしまいましたけど、とにかくこの曲でもダイナミックに曲を起伏させて、常に聴き手に訴えかける熱い演奏を楽しみました。
カーテンコール時、団員の方の笑顔があちこちからこぼれていて、音楽をたっぷりと堪能したっていう感じのいい演奏会でした。 皆さんお疲れさまでした。