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オーケストラ・ソノリテ 第10回定期演奏会 |
熱くドラマティックな演奏会(戻る)
オーケストラ・ソノリテ 第10回定期演奏会
2006年2月12日(日) 14:00 尼崎アルカイックホールワーグナー: 歌劇「リエンツィ」序曲
ベートーヴェン: 交響曲第9番ニ短調「合唱」op.125(ベーレンライター版)独唱: 日紫喜恵美(S)、福原寿美枝(A)、松本薫平(T)、大谷圭介(Br)
合唱: ソノリテ記念合唱団
指揮: 井村誠貴
一言、素晴らしい演奏会でした。
前日の井村さんから届いた様子では体調不良とのことでしたけど、「リエンツィ」序曲の冒頭からたっぷりとしたワグナーの音楽を堪能。 重厚さに柔らかさがあり、勇壮でいて軽やかさもあるドラマティックな音楽でした。
トランペットの人、よかったですよ。 あの単音、単純なだけかえって大変なんですよね。 オケもまたよく整ってましたし、ぎゅっと締まった音楽、聴き応えありました。 ワクワクしてくるような感じ。 演奏後にはブラボーもかかって、確かに素晴らしい演奏でしたけど、逆にいきなりこんなに充実した音楽していいの・・・って思えるほどでした。
そしてメインの第九、それが杞憂だとわかりました。 起伏に富んだ素晴らしい演奏でした。
一言でいうならば、とても熱い第九、だったのですけれど、抑えるべきところ、丹念に響かせるところ、いずれもまったく流れを絶やすことなく連綿と歌い継がれていたのが特徴的です。 そして終楽章は、高く熱く燃えました。 合唱団の熱い響きがホール内に充満して感動的。 やっぱりこの曲は合唱のためにあるんだなぁ〜 と思うほど。 もちろん、そこに至るまでのオケも素晴らしかった。 何より分奏がしっかりしていて、対抗配置にした効果もよく出ていたと思います。 とにかく皆さんすごく気合がこもってて、譜面をめくるバサッという音が時に2階席後方でもハッキリ聞こえるほどでした。 素晴らしい演奏に惹き込まれてしまい、あまり細かな部分を覚えていないほど。 これは幸せなことですね。
エンディングの井村さん、全力投球で物凄いスピードで畳み掛け、圧倒的な迫力で全曲締め上げました。 全員が一致団結した第九、それを締めくくるのに相応しい熱い演奏に感動しました。
簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。
朝から寒い風が吹き、奈良では雪も舞っていました。 このところ忙しく、事前に井村さんからのご招待メールにも返事を差し上げず、また掲示板への書き込みもままなりませんでしたけど、この演奏会は外せないと(他のオケのご招待はお詫びをして)アルカイックに向かいました。
開場10分程前には尼崎駅に到着。 はやる気持ちはあったのですけど、寒風のなか待つのも気がひけたので、アマゴッタの100円ショップを見てからホールに到着。 既に列はなくスムーズに入場し、いつもの2階席へ。 中央通路後ろの2人掛け席 6-23 を確保しましたが、少々お腹具合が良くなく・・・トイレですっきりしました。 冷えたのかも。 このところ体調が悪いというほどではありませんけど、耳鳴りがやけに気になりますし、疲れ気味なのかもしれませんね。 とにかく気持ちを落ち着け、何するともなく、ゆったりと開演を待ちます。
5分前のブザーのあと、第10回の記念演奏会であること、阪神淡路大震災の10周年記念事業のいっかんである旨のアナウンスがありました。 1階席は9割の入りでしょうか、2階も7割は入っているかな。 よく入っていますね。
定刻、オケのメンバーが整列入場して席につきます。 弦楽器および管楽器も対抗配置です。 弦楽器は 14-12-10-9-5 の編成。 正面に向かって左後方にホルン、右後方にトランペット、トロンボーン。 打楽器も右側ですけど、左右に1対のスネアドラムが配置されているのが特徴的です。 チューニングを終えると、井村さんがかなりゆっくりと歩いて登場。 譜面台は無く、暗譜で指揮されますね。 でも事前の掲示板への書き込みでは風邪なのでしょうか、体調よろしくないとのこと。 ちょっと心配ですが、いよいよ始まります。
歌劇「リエンツィ」序曲。 冒頭からたっぷりとしたワグナーの音楽を堪能しました。 重厚さに柔らかさがあり、勇壮でいて軽やかさもあるドラマティックな音楽でした。
トランペットの人、よかったですよ。 あの単音、単純なだけかえって大変なんですよね。 オケもまたよく整ってましたし、ぎゅっと締まった音楽、聴き応えありました。 ワクワクしてくるような感じ。 演奏後にはブラボーもかかって、確かに素晴らしい演奏でしたけど、逆にいきなりこんなに充実した音楽していいの・・・って思えるほどでした。冒頭のトランペットの単音、聴いていても緊張しますね。 あるアマオケでは途中で音が出なくなって可哀想でした。 ラッパ吹きの友人によると簡単なだけに余計に緊張してしまうとのこと。 しかも一度ミスってしまうと、後々何度も繰り返されるのでダメージが余計に大きくなります。 そのアマオケでは最後まで立ち直れなかったように記憶してます。
さて、その緊張するラッパの単音、落ち着いて吹き切りました。 チェロの響き、そして木管楽器も柔らかくサポートし、繰り返されるラッパの響きと慎重に重ねてゆきます。 高音弦が入ってきてもゆったりと進み、そして徐々に明るさを増す荘重な音楽です。
ホルンが太い響きで入り、低音弦がたっぷりと弾いて大きなうねりをもって曲を進めます。 まさしくこれはワーグナーの音楽やな、そんな風に思っていたら、井村さんが両腕を大きく広げ、スネアドラムが物凄いインパクトを持った強い打音にホール内は釘付け。 そして勇壮な音楽として、これがまた素晴らしい。 丁寧にトランペットを絡めたり、軽快なマーチはノリノリって感じ。 ちょっと間違うとあざとさを感じると思うのですけど、響きの柔らかさを失わず、腰の強い音楽は、勇壮さだけでなく堂々としています。 井村さん、力を込めて大きく動いて、ドラマティックに曲を進め、終結部の速度を上げます。 そしてマーチの部分ではまた軽くジャンプをしてオケを乗せ、胸躍るような音楽として力強く纏めました。ブラボーがかかってましたけど、納得です。 逆にいきなりこんなに力入れていいの・・・って思うほどの充実した演奏でした。 堪能しました。
約10分間の休憩、とのアナウンスがありました。 2階席も8割位入ったでしょうか。 じっと席で先の演奏の感動を味わいながら待ちます。
定刻、合唱団の方が左右より登場し、後ろの席から規則正しく並びます。 中央に男声、両脇が女声といった配置で、1列のメンバー全員が揃うと着席。 整然とこれが繰返されて準備完了。
オケのメンバも登場。 今度は 14-12-10-9-7 の編成でコントラバスが2名増強されました。 チューニングを終えると、やはりゆっくりと井村さんが登場。 一礼したあと、うつむいて精神統一でしょうね、ちょっと長めのインターヴァルをとってから、ようやく顔を上げました。 いよいよ始まります。 この曲も暗譜ですね。ベートーヴェンの第九。 起伏に富んだ素晴らしい演奏でした。 一言でいうならば、とても熱い第九、だったのですけれど、抑えるべきところ、丹念に響かせるところ、いずれもまったく流れを絶やすことなく連綿と歌い継がれていたのが特徴的です。 そして終楽章は、高く熱く燃えました。 合唱団の熱い響きがホール内に充満して感動的。 やっぱりこの曲は合唱のためにあるんだなぁ〜と思うほど。 もちろん、そこに至るまでのオケも素晴らしかった。 分奏がしっかりしていて、対抗配置にした効果もよく出ていたと思います。 とにかく皆さんすごく気合がこもってて、譜面をめくるバサッという音が時に2階席後方でもハッキリ聞こえるほどでした。 素晴らしい演奏に惹き込まれてしまい、あまり細かな部分を覚えていないほど。 これは幸せなことですね。
エンディングの井村さん、全力投球で物凄いスピードで畳み掛け、圧倒的な迫力で全曲締め上げました。 全員が一致団結した第九、それを締めくくるのに相応しい熱い演奏に感動しました。第1楽章、ふわっとしたホルンと弦の響きによる厳かな開始。 井村さん、響きを収斂させてから、大きく振りかぶって第1主題を劇的に盛り上げました。 いきなり、って感じもしました。 しかしオケの弾力ある響きが素晴らしいですね。 いつもどおり身体全体で音楽を表現してゆく井村さんですが、かなり丁寧に響きを重ねながら進めていたようです。 もちろん井村さんらしい躍動的な音楽は変わりません。 気迫こもってます。 ぐっと溜める部分に力をぐいぐいと溜め込んでから解放しているみたい(うまく言えませんが)。
この演奏を支えるオケの分奏がまたしっかりしていたのが印象的でした。 中低弦が何よりしっかりしているのは勿論のこと、左右に振り分けられたヴァイオリンがきちんとステレオ効果になってました。 譜面をめくる音も大きく、2階席の後ろまで届いてきたり、オケもまた気迫を感じさせる演奏です。 とにかく聞き惚れてしまって、細かな部分はよく覚えていません。 というか、細かなことを考えながら聴くのが勿体ない、って感じ。
ティムパニの強打にもキレがありましたね。 熱く燃えるような音楽も実に丁寧に紡いでいます。 起伏に富んだ音楽、これがあれよあれよって感じで、あっという間に終結。 響きを溜め込み、集中力を高めたのを大きな響きで柔らかく響かせて纏めました。第2楽章、軽いハナ息ととも鋭い響きが出てきました。 ティムパニの打音、パンチがありますね。 熱い合奏、熱い音楽。 ここでもしばし聞き惚れました。 主題を繰り返し、第2ヴァイオリンから半時計周りで響きが廻ってぐっとまた力が入ります。 そして軽くジャンプしながらまた第2主題でオケを乗せて進めてからぐっと力を込めるドラマティックな進行。 個人的にはいつもここで「時計じかけのオレンジ」を思い出してしまうのですけど、温かみを感じました。 いいですねぇ。 そしてホルンの長閑な響きも素敵でした。 中間部の木管アンサンブルもチャーミングで、オケの弦も管も纏まり感があって実に素晴らしい。 井村さんの軽いハナ息でまた主題が熱く再現されたあと、すっと流れを止め、柔らかく駆け込んで終了しました。
井村さん、指揮台からいったん降りて汗を拭い、コンマスにチューニングを指示。 これが終わるとソリストの登場です。 合唱団の前、オケの後ろに着席しました。
第3楽章、ファゴットの響きがまろやかな開始でした。 弦楽器がゆったりと息を長くとって進みます。 濡れたような弦の響きで連綿と歌います。 ホルンが柔らかな響きで吹くと、第1ヴァイオリが優しい。 ここにクラリネットが入り、木管アンサンブルが絡んで優美ですね。 ゆったりと歌って進みます。 独奏ホルン、第4奏者だったでしょうか(第3奏者?)、ここでベーレンライター版だと気づいたのはちょっと遅すぎですね。 とにかく暖かな響きの中に熱さを秘めたアンサンブル。 全奏となっても円やかさを失いません。 低弦をじっくりと響かせ、ゆったりと、柔らかく進めます。 トランペットが入って華やかさを添えますが、落ち着いた響きはそのまま最後まで進め、ゆったりと纏めました。
第4楽章、タイトに響きを纏めた開始。 充分に力がこもったコントラバスですが、落ち着いて端正に響きます。 チェロが加わって響きが太くなり、チャーミングな木管を織り交ぜながら進んでゆきますが、この楽章、とくにコントラバスがよく揃って芯になっていたのが素晴らしいかったですね。
歓喜の主題をしっとりと歌い出すと、ヴィオラやファゴットの柔らかな響きが絡んで、しっとりと落ち着いた響き。 ここでも丁寧に紡いだ井村さん、オケを大きく纏めて高らかに歌いあげると端正に纏め、バリトン・ソロに引き渡します。 艶のあるいい声ですね。 朗々と歌ってますが、タイトな合唱にも目を見張りました。 熱い合唱ですね。 ソプラノのチャーミングな声が熱い合唱の中から透ってきました。 熱い音楽を大きく纏めて進め、スパっと止めます。
コントラファゴットに誘われた行進曲、軽やかです。 井村さんらしく軽くダンスしてリズミカルに進行。 テノールのソロ、ちょっと声が届きにくかったのは風邪気味だったのかな。 合唱が熱く入ってくると、井村さんがヴァイオリンに力を要求してタイトに盛り上げます。 このあと、井村さん、ほとんどの指揮を合唱に費やしてられましたね。 熱い声・声・声・・・今さらながら、合唱曲だってことを認識しました。 オケも懸命な演奏でこれをサポート。
ソリストが起立して全員で高らかに歌い上げ、合唱も入ると声の響きが洪水のようにホールに充満。 感動的な音楽です。 フィナーレ、コントラバスの方が凄まじいスピードで弾いておられたのが印象的。 物凄い気合入ってます。 合唱が大きく歌ってから、井村さん身体を半身にし、ありったけの力を込め、凄まじい勢いで駆け込んで全曲を纏め上げました。会場から熱い拍手にブラボーが飛び交い、気合のこもった素晴らしい演奏、井村さんらしい起伏に富んだドラマティックな第九に感動しました。
実は、井村さんの指揮される古典派の音楽には少々危惧があったのですけれど、連綿と歌い継がれたこの第九、オケや合唱の熱演も相まった素晴らしい時間でした。 熱い感動を胸に会場を後にしました。 皆さんお疲れさまでした。