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吹田市交響楽団 サマー・コンサート2006

音楽を好きになるコンサート戻る


吹田市交響楽団 サマー・コンサート2006
2006年8月20日(日) 14:00  メイシアター・大ホール

第1部
モーツァルト: 歌劇「魔笛」より「序曲」
        パパゲーノのアリア「オイラは鳥刺し」
        夜の女王のアリア「我が心は怒りに燃え」
        パパゲーナとパパゲーノの2重唱「パッパ、パパゲーナ、パパゲーノ」
モーツァルト: 交響曲第39番より第1楽章

第2部:指揮者コーナー
モーツァルト: アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク
ブラームス: ハンガリー舞曲第6番

第3部
芥川也寸志: 交響管弦楽のための音楽(*)

(アンコール)プッチーニ(編曲/新谷武):歌劇「トゥーランドット」より「誰も寝てはならぬ」(*)

独唱:晴 雅彦(Br)、角地直子(S)、木村直未(S)

指揮:米山 信、新谷 武(*)


高校野球の決勝戦があるのにここに集まった人たちは本当の音楽好きである、と指揮者の米山さんが言われていましたけれど、今年も音楽を好きになるコンサートを楽しませていただきました。
今年はモーツァルト・イヤーということであり、まず第1部は歌劇「魔笛」の序曲とアリアなど3曲。 晴雅彦さんの軽妙な演技と耳あたりのよい歌声で「オイラは鳥刺し」、角地直子さんとの2重唱で「パッパ、パパゲーナ、パパゲーノ」を楽しみました。 じつは昨年10月に中古レーザディスク(今時なのでなんと1,000円)で捕獲して以来、「魔笛」は数少ないお気に入りの歌劇になったのでした。 実演でも聴けて本当に良かったと思います。 とにかく楽しい演奏でした。
ちょっと段取り悪かったのもご愛嬌で、第1部は交響曲第39番第1楽章で締め。 コントラバスにのって金管が吹き、また木管アンサンブルも輝くようでした。 後半は滑るような弦楽器とも相俟って、堂々としながらもモーツァルトらさしさを感じた演奏で前半を幕。
第2部は恒例の指揮者コーナー。 ここもちょっと段取り悪かったけれど、クスクス笑いもまたモーツァルトにはよく似合ってますね。
第3部は芥川也寸志の「交響管弦楽のための音楽」。 モーツァルトをテーマとしたこのサマーコンサートとしては、とても意欲的な試みだったと思いますけれど、最後にオーケストラ音楽の醍醐味を味合わせてもらいました。 オーケストラから発っせられるリズム感の良い響きが届けられ、しかもキレやコクもあってとても気持ちの良い音楽。 機動力のあるオーケストラ音楽に心奪われたひとときでした。
吹響のサマーコンサート、気楽に楽しめるけれど、いつも何か新しい発見をさせてくれる演奏会ですね。 今年もまた大いに楽しませていただきました。
蛇足ですが、今年のパンフレットのデザインについて。 少女が指揮をする周りで猫ちゃんが、ヴァイオリンを弾いたり、フルートやラッパを吹いたり、シンバルやタンバリンを叩くような図案でした。 帰りがけ、ロビーで小さな女の子が、猫ちゃんがいっぱい、と嬉しそうにお母さんに話す声が聞こえてきました。 こんなことでも身近に音楽を楽しめた演奏会だったと思います。 とてもいい気持ちになって会場をあとにできました。 皆さん、お疲れさまでした。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

午前中、休日出勤をしてから行く予定でしたが、前夜ちょっと動きすぎたので休日出勤は取り止め。 自宅で休養をとってから吹田に向かいました(でも朝6時前には起きているんですけどね)。 こうやって感想文を書く前からこのサマーコンサートにはお邪魔していますので、もう6〜7年連続になるでしょうか。 いつもは家族の夏の楽しみにもなっているのですが、今年は皆の都合がうまくつかなくて僕一人での鑑賞となりました。 まっこれも気楽でいいんですけどね。

開演15分ほど前に到着。 ちょうど雨が降ってきたので、あわててホールに駆け込みました。 受付でパンフレットを頂いて、さっそく2階席へ。 いつもの足元の広い席(そ-33)を確保。 1階席はよく見えませんが6割程度の入りかしら。 あとで気づいたのですけど、高校野球の決勝戦をやっていたのですね(なおこれもあとで分かったのですが引き分け再試合になった日でした)。

定刻、金管楽器のメンバーを先頭に整列入場。 弦楽器の編成は、通常配置で 11-15-7-6-4 だったかしら(数え間違いがあるかもしれません)。 チューニングを終えて準備完了。 指揮者の米山さんが出て来られて始まります。

モーツァルトの歌劇「魔笛」序曲。 柔らかな和音をすっきりとまとめた開始から適度な緊張感を持って旋律を廻してゆきましたね。 高音弦がちょっとぎこちなく感じたりもしましたけれど、徐々に潤滑油も廻ってきた感じかしら。 チャーミングな木管も交えて進みます。 すっと止め、ファンファーレは柔らかく厳かで落着いた感じ。 ここでは木管がほんのちょっと飛び出したみたいなのが残念でしたけど全体には影響なし。 このあとリズムに乗せて力を増し、トロンボーンの響きをあしらって音圧のあるエンディングで纏めました。

米山さんがマイクを持ち、高校野球の決勝戦なのにここに集まった人たちは本当の音楽好きであるとの証明をいただいて拍手喝采。 この間にトロンボーンが下がって、トランペットがホルンの後ろに廻り込みました。 モーツァルト・イヤーなので歌劇「魔笛」を取り上げたけれど、詳しい話には立ち入れないので気に入ったらDVDで全曲を楽しんで欲しいとのこと。 昨年、中古LDを捕獲して初めて全部のストーリーを観てから、先の序曲も含めてお気に入りになったことと重なりました。 全部観て初めて、ひとつひとつのアリアの聴き方も変わったように思いますが、それはともかくここでの音楽を楽しみましょう。 米山さんが指揮台に立ち、アリアが始まります。

パパゲーノのアリア「オイラは鳥刺し」。 爽やかな音楽が流れだし、舞台袖からパパゲーノが出てくるのかなと思っていたら、客席の後ろから登場。 会場が一気に沸きます。 あとは晴さんの芸達者な演技と歌で場内を魅了。 ステージで寝そべったり、ひょうきんな動きをしながらの楽しいステージでした。 なお日本語による歌唱で、軽やかに歌っておられましたけど、2階席最後方ではさすがに発声が聴き取りにくい面もありましたが、でも、見て聴いて楽しい舞台。 米山さんの「決勝戦より晴さんのステージは値打ちがある」と言葉にもまた拍手喝采がありました。

夜の女王のアリア「我が心は怒りに燃え」。 きりっと締まったオケの響きに木村さんの真摯な歌は原語ですね。 コロラトゥーラで高い声をまろやかに転がしたのがとても見事。 声量もありましたね。 ただやはり2階席最後方では発声がまた不明瞭に響いたのが残念でしたけど、これは自分のせいですね。 もっと前に行かなきゃね。 でも、真摯な歌唱でぐっと盛り上げ、オケも感動的な響きで締めくくった見事なエンディングでした。

パパゲーナとパパゲーノの2重唱「パッパ、パパゲーナ、パパゲーノ」、これも楽しい歌・ステージでしたね。 晴さんと角地さんによるステージを楽しみました。 ステージ右から晴さん、左から角地さん、小さな子供たち8人(4組)も出てきました。 チャーミングで愉快なモーツァルトの世界。 歌とオケもよく合っていましたよ。
演奏後のカーテンコールでは子供パパゲーノがステージを横切ってひっこみそうになるハプニングもまた可愛らしかったですね。 とにかく楽しませていただきました。

しかも子供パパゲーナによる花束贈呈では、有りがちですけれど、誰に渡すのかを戸惑うハプニングも重なって米山さんも慌ててしまったのでしょうかね、1曲飛ばして休憩に入ろうとし、慌てて軌道修正。 増強した管楽器メンバーとともに第1部最後の曲は、人類の最高の遺産の一つ、として紹介されました。

モーツァルトの交響曲第39番の第1楽章。 ハプニングが続いたせいでしょうか、弦楽器がやや散漫な感じを受けた序奏で始まりました。 でも徐々に軌道に乗せてきて堂々とし音楽に。 主題になると伸びやかさも出てきました。 印象的だったのは、ラッパが引き締まった響きで曲を締めていたことかな。 しかもコントラバスの響きの上にのって届けられる金管楽器がとてもいい感じでした。 しかもその後ろに位置しているティムパニが控えめながらも的確に打っていて、この1列でビシっと芯が通っているみたなんですね。 終盤、弦楽器に滑るような感じも出てきて、オケ全体が乗った感じなったフィナーレで第1部を閉じました。

15分間の休憩のあとは、お馴染みの指揮者コーナー。

米山さんの司会、ここでもまだ第1部の余波があったのでしょうか(高校野球が気になっていたのかな、この時点では6回で0対0だったそうです)、曲を試奏せず、いきなり人選に入ってしまったので仕切り直し。 おてもと(割り箸)を使うなどのイチビリも入れつつ、やや冗長な感じもしながら試奏完了。

今年は、小さな子供2人の姉妹が一緒に「おいでおいで」、少年がヤケクソ気味に上下に振ったあと、若い女性による指揮がきちんと振っていてお見事でした。 最後は抱いたお孫さんにおてもと(割り箸)持たせての指揮。 途中でおてもとを落とすハプニングもありましたけど最後まで完奏。 ちょっと段取り悪かったけれど、クスクス笑いもまたモーツァルトにはよく似合ってましたね。

休憩なく第3部に突入。 管楽器メンバーを増強して準備完了で、ここからは新谷さんの指揮となります。

芥川也寸志の「交響管弦楽のための音楽」。 モーツァルトをテーマとしたこのサマーコンサートとしては、とても意欲的な試みだったと思いますけれど、最後にオーケストラ音楽の醍醐味を味合わせてもらいました。 オーケストラから発っせられるリズム感の良い響きが届けられ、しかもキレやコクもあってとても気持ちの良い音楽。 機動力のあるオーケストラ音楽に心奪われたひとときでした。

第1楽章、新谷さんが柔らかく振って木管アンサンブルを引き出しての開始。 エキゾティックでしたねぇ。 スネアのリズムにのって伸びやかに歌い、かつ透明感の高い演奏が魅力的に進みました。 コールアングレのしっとりとした演奏は落着いた雰囲気を醸し出します。 チューバでしょうかズーンズーンという響きも印象に残りました。 新谷さんが大きく振ってオケに粘り気を添え、冒頭のリズミカルな旋律を戻したあと、すっと止めました。

第2楽章、シンバルの打音、キリッと締まったブラスによるファンファーレ、そして力強いリズムにちょっと圧倒されました。 しかし、すっと力を抜いて軽やかなトランペットもまた素適。 そして煌くようなフルートなどの木管の響きも新鮮でした。 打楽器も勢いがあるけれど、安定感を持っているので安心して音楽を楽しめます。 ここでは弦楽器も伸びやかで、ノリもよかったな。 オケ全体としてもダイナミクスにも優れた機動力のある音楽を届けてくれて、まさしくオーケストラ音楽の醍醐味を味わった気分。 トロンボーンのソロもいい感じ、気持ち良く音楽にのって楽しみ、最後は新谷さんがぐいっとすくいあげるようにしての着地もまた素晴らしものでした。 大きな拍手を贈らせていただきました。

アンコールは、新谷さん編曲による雄大な感じのするトゥーランドット。今年もまた大いに楽しませていただきました。

蛇足ですが、今年のパンフレットのデザインについて。 少女が指揮をする周りで猫ちゃんが、ヴァイオリンを弾いたり、フルートやラッパを吹いたり、シンバルやタンバリンを叩くような図案でした。 帰りがけ、ロビーで小さな女の子が、猫ちゃんがいっぱい、と嬉しそうにお母さんに話す声が聞こえてきました。 こんなことでも身近に音楽を楽しめた演奏会だったと思います。 とてもいい気持ちになって会場をあとにできました。
皆さん、お疲れさまでした。