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ハーモニック・ソアラ 第2回定期演奏会

休日の午後にぴったりシュターミッツ戻る


ハーモニック・ソアラ 第2回定期演奏会
2007年5月20日(日) 14:00  高槻現代劇場・中ホール

メンデルスゾーン: 序曲「フィンガルの洞窟」op.26
シュターミッツ: フルート協奏曲ロ長調
ベートーヴェン: 交響曲第2番へ長調op21

(アンコール)マスカーニ: 歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲

独奏: 関谷弘志(fl)

指揮: 関谷弘志


シュターミッツのフルート協奏曲、期待を遥かに上回る素適な演奏に大きな拍手を贈りました。

初めて聴くこの曲が今回のお目当て。 パンフレットにも「ギャラント趣味の典型ともなっている作品」と書かれているとおり、明るく判りやすい曲でしたが、深みを感じさせる関谷さんのフルートにより、落着いた味わい深さも感じました。 人数を絞り込んだオーケストラも前後2曲とは違い、軽やかで洗練された響き。 吹き振りの関谷さんと一体となった演奏はとても素敵で、休日の午後にぴったりの雰囲気でした。 聴いていたら紅茶が欲しくなりました・・・なんて、冗談のようなホントの話しです。

なお冒頭の「フィンガルの洞窟」は、きちっとした構成感を持った演奏。 少々硬い感じやら、力みが聴こえたようにも感じましたけれど、パンフレットに書かれた「コントラバスにとっては16分音符が多くて大変」といったことは全く感じられず、2本のコントラバスの響きのなんと心地良いこと。 潔いティムパニの打音とともにしっかりと曲を支えていたのが印象に残りました。

そしてメインのベートーヴェンの交響曲第2番、こちらもとてもしっかりとした構成感を持たせた演奏でした。 すべての繰り返しを行うのはいつもどおり、しかしきちっとした演奏が同じように繰り返されるのため、少々くどさも感じてしまいました(すみません)。 特にシュターミッツを聴いたあとだから、余計にそんなことも感じたのかなと思います。 しかしながら演奏のキレの良さ、きちっとした演奏でベートーヴェンという巨大な壁に挑戦している、そんな風にも思えたしっかりとした演奏でした。

シュターミッツの軽やかさ、アンコールでの透明感の高さなどから、もっと自由度の高い演奏もできるオケなので、次の演奏会ではもっと軽やかな曲が増えたらいいのなぁ〜 なんて思いながらホールを後にしました。 皆さんお疲れさまでした。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

早めの昼食を済ませ、余裕で出かけるつもりでしたが、居間の時計を何気なく見たら、出かける時間! え? さっきまでいた部屋の時計が、なんと30分も遅れていたのでした。 さっきまでの余裕は吹き飛んでしまい、慌てて用意をして飛び出しました。 駅までの小走り、乗り換えもダッシュで階段を駆け上がり・・それが功を奏して予定どおり開演20分前にホール到着。 いきなり疲れてしまいました。

客席は中央ブロックの通路側にずらっと人が座っていたので、中央付近に入ることも出来ましたが、左ブロックで後ろから2列目の通路沿い ち-12 を確保。 今日のお目当てはシュターミッツのフルート協奏曲なので、もっと前の方がいいかな〜 なんて思いましたけれど、いつもどおり席に余裕のある後方席からの鑑賞としました。 この方が落ち着きます。 座席に深々と座り、パンフレットを読んだり、チラシを眺めたりして開演を待ちます。

開演5分前のブザー、場内の照明がゆっくりと落ち、逆にステージが照らされるとメンバーの方が拍手に迎えられて整列入場。 弦楽器の編成は 7-7-4-4-2 の通常配置。 コンミスが立ってチューニングを開始します。 お客さんの入りは5〜6割程度でしょうか。 準備が整うと、胸を張り、ちょっと早足で関谷さんが登場。 始まります。

メンデルスゾーンの序曲「フィンガルの洞窟」、きちっとした構成感を持った演奏でした。 少々硬い感じやら、力みが聴こえたようにも感じましたけれど、パンフレットに書かれた「コントラバスにとっては16分音符が多くて大変」といったことは全く感じられず、2本のコントラバスの響きのなんと心地良いこと。 潔いティムパニの打音とともにしっかりと曲を支えていたのが印象に残りました。

コントラバスのふわっとした響きを絡めた慎重な弦楽アンサンブル。 チェロによる旋律も硬さも感じ、全体的に手探りのようにも感じた開始でした。 そして急激な盛り上がり。 力強さがよく出ていますが、ここでは高音弦のザラつきが少々気になりました。 木管楽器はしっかりとした響きで、全体的にきちっと演奏しよう、といった感じがよく伝わってくる演奏ですね。 そしてフィナーレもまた力強く走り始めて、トランペットが高らかに吹いて音量アップ。 最後はふわっと着地をして終了。 コントラバスが終始落ち着いた柔らかな響きを聴かせ、ティムパニが余裕のあるコンパクトな打音で曲を支えているため、きちっとした構成感がよく出ていた潔い演奏だったと思います。 個人的にはメンデンルソーンらしい潤いが欲しい感じがしましたけれど。

ステージは暗転し、いったん全員が退場。 指揮台を取り除き、奏者の座席調整をしている間、楽屋よりフルートの響きが聞こえてきます。 関谷さんがウォーミングアップされているのでしょうね。
準備が整い、オケのメンバーが出てくると、今度はメンバーを絞り込んだ 5-5-3-5-1 の編成。 コンミスの方が慌てて楽屋にとってかえし、関谷さんの譜面を持って出てきて、譜面台にセット。 席について落ち着いた頃、関谷さんがフルートを持って登場。 まず客席への一礼のあと、関谷さんのフルートに合わせたオケのチューニングを実施。 これで準備完了。 さあ始まります。

シュターミッツのフルート協奏曲、初めて聴くこの曲が今回のお目当てでしたが、期待を遥かに上回る素適な演奏に大きな拍手を贈りました。
パンフレットにも「ギャラント趣味の典型ともなっている作品」と書かれているとおり、明るく判りやすい曲でしたが、深みを感じさせる関谷さんのフルートにより、落着いた味わい深さも感じました。 人数を絞り込んだオーケストラも先の曲とは違い、軽やかで洗練された響き。 吹き振りの関谷さんと一体となった演奏はとても素適で、休日の午後にぴったりの雰囲気でした。

第1楽章、関谷さんの右手が動いて豊かな響きの弦楽アンサンブルが流れ出てきました。 さっきの演奏と違い随分と洗練された響きにまず驚きました。 関谷さんは最初の振り以降はフルートを持ったまま佇んでいて、序奏の演奏はコンミスを中心に進行。 でもこれがまた柔らかい響きでチャーミング、素敵でした。
フルートが美しい響きで親しみやすい旋律を歌い始めます。 関谷さんによるフルートの音色、とても落ち着いていますね。 端正な感じさえします。 オケも音量を下げてしっかりとサポート。 またオケだけの部分になると自然と音量アップし、楽しさを演出。 いい曲・いい演奏ですね。
カデンツァ、深みと明るさの両方を感じさせた響きで場内を魅了。 オケが加わって走り始め、ソロの響きと併せて弾むようにこの楽章を終了しました。

第2楽章、関谷さんが右手をぐるっと回して柔らかな弦楽アンサンブル、そこに伸びやかなフルートのソロが乗ります。 チェロとコントラバスのピチカートが心地よく絡み、今度はヴァイリンのピチカートが雨だれのような感じ。 フルートは落ちついた響きながらも華やかさを持っています。 カデンツァ、ここでは伸びのある響きを聞かせて、オケに繋ぎ、しっとりと幕を引きました。

第3楽章、開始前に布でフルートを拭き、意を決したようにこの楽章を開始。 フルートとオケが一体になって走り始めます。 まろやかな音楽にうっとり。 弦だけになって快活に進めて、フルートが速いパッセージで加わって華やかな音楽。 軽やかに主題を戻し、またまろやかになります。 そして中間部でしょうか、速度を落とし、フルートと弦楽器がゆっくりと絡みます。 音楽をたっぷりと味わっていい気持ち。 なんだかアフタヌーン・ティーの音楽にぴったりやな、なんて思っていたら紅茶が欲しくなりました。 最後はまた主題を戻し、ちょっと力を増してステップを踏むようにして全曲を閉じました。
関谷さん、うまくいった、とばかりに手を胸に当てて嬉しそうな表情でしたね。 とても素適な演奏に客席から大きな拍手が沸き起こりました。

15分間の休憩、席でアンケートを書いて、大人しく開演を待ちます。
5分前のブザー、またもや場内の照明がゆっくりと落ちて、ステージが照らされると、今度は 8-6-4-5-2 編成でオケが揃います。 コンミスによるチューニングを終えて準備完了。 関谷さんが登場、始まります。

ベートーヴェンの交響曲第2番、こちらもとてもしっかりとした構成感を持たせた演奏でした。 すべての繰り返しを行うのはいつもどおり、しかしきちっとした演奏が同じように繰り返されるのため、少々くどさも感じてしまいました(すみません)。 特にシュターミッツを聴いたあとだから、余計にそんなことも感じたのかなと思います。 しかしながら演奏のキレの良さ、きちっとした演奏でベートーヴェンという巨大な壁に挑戦している、そんな風にも思えたしっかりとした演奏でした。

第1楽章、関谷さんの軽いハナ息より引締まった和音、落ち着いた木管と弦、抑揚をつけながら進んでゆきます。 コントラバスがよく聴こえるのは「フィンガルの洞窟」と同じ。 しかもここでは第2ヴァイオリンとヴィオラもしっかりと聞こえてきます。 だんだんとスピードアップし、ホルンが少々開放的に鳴っていますが、きりっと引締まった表情。 関谷さん、打点を明確にした指揮ぶりで、的確な指示をして各パートの響きを導き出しているようです。 オケもこれにきちっと反応しているのですが、かえってなんだかこれで硬さも感じますね。 もっと演奏が下手だったら違った感じも受けのでしょうが、少々四角四面な感じもするのですね。 フィナーレは、左右に揺するようにして音量を上げ、力のこもった演奏として終了。 残響がホールに残りました。

第2楽章、さわやかな弦楽アンサンブルにまろやかな木管がかぶさってゆっくりと進みます。 クラリネットの少々太い響き、弦楽サンサンブルも清澄な感じで、とてもしっかりとした表情の演奏。 関谷さんもまたいつもどおり、キリっと引締まった表情でオケを見渡し、構成感をきちんと持たせた音楽作りです。 誠実なと言えば良いのでしょうが、同じ旋律が繰り返されて出てきて、また同じように忠実に再現されるため(18世紀の人にはこれでよかったのかもしれませんが)、現代に活きる自分にとっては少々眠くなったりもして(疲れているから、ということもあり)少々クドイなぁなんて感じたりもしました(すみません)。 最後は柔らかく止めました。

第3楽章、弾力のある響き、ホルンも柔らかなホルンの響きによる開始。 しっかりとした足取りによる演奏。 関谷さん、小さく振って弾力のある音楽を引き出しています。 でもフレーズの終わりは歌わせていたかな。 ぐっと力をいれて、さっと流す、そんな感じのスケルツォですね。 力強くすくいあげるようにしてこの楽章を止めました。

第4楽章、ハナ息とともにキレに良い重厚な響き。 ティムパニは、先の小さなマレットに持ち替えて小気味良く打ってます。 ファゴットがいい響きでしたね。 そして覇気のある盛り上がり、トランペットが高らかに吹き、タイトなホルンによる力強い演奏。 これをすっと止めて主題を戻します。 コントラバスの響きがここでも心地よく響いていて、ほんとしっかりとした演奏ですね。 ふっと、ベートーヴェンという巨大な壁に挑戦している、そんな風にも思えてきました。 最後は関谷さんの右手がくるっと回って頭上で止まり、潔い終結として全曲を締めました。

個人的には 8-6-4-5-2 の小編成オケなのだから、軽やかで若々しい演奏をして欲しいような気もしながら聴いていたのですが、ベートーヴェンという巨大な壁に挑戦している、と思ったら納得できた演奏でした。 ただ、シュターミッツの心地よい軽やかさ、アンコールでの透明感の高さなどからも、もっと自由度の高い演奏ができるオケなので、次の演奏会ではもっと軽やかな曲が増えたらいいのなぁ〜 なんて思いながらホールを後にしました。
色々と書きましたけれど、期待しているということで許して下さい。 とにかく皆さんお疲れさまでした。