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第19回 天理の第九演奏会 |
聴いていると楽しくなる弦楽アンサンブル(戻る)
2012年12月23日(日) 16:00開演(15:00開場)
天理市民会館・やまのべホールヴェルディ:歌劇「椿姫」より第1幕への前奏曲、
アリア「ああ、そは かの人か〜花から花へ〜」-*
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱つき」
(アンコール)ふるさと、蛍の光
独唱:内藤里美(S) -*
日紫喜恵美(S)、小林久美子(A)、清水徹太郎(T)、大谷圭介(Br)
合唱:天理第九合唱団
演奏:天理シティーオーケストラ -*
天理第九管弦楽団
指揮:安野英之(常任)
年末の恒例、天理の第九も単身赴任の空白期間を経て、2007年以来久しぶりとなりました。 変わらずよく訓練されたパワーある合唱。 若干変わったとしたら、男声陣が少なくなって見劣りしている点でしょうが、テクニックとパワーは充分でした。 そしてアンコールとして会場とともに歌う「ふるさと」「蛍の光」。 ああっ年末になったのだな、と実感させる天理年末の風物詩をたっぷりと楽しませて頂きました。
昨年までの第九演奏会の指揮者は客演となっていましたけれども、今年は常任の安野さん。 天理での功績を評価され、昨年11月に天理市より教育表彰されていますが、今回も演奏会終了後にはロビーに出てアンケート回収に奔走されるなど、変わらずオーケストラと一体となった安定した指揮ぶり。 盛り上がる第4楽章でのコントロールもさることながら、前半の2つの楽章ではもっぱら指揮棒を小さく縦に振って集中力を高めていたのが印象的でした。
後半2つの楽章では指揮棒を横に振って、ゆっくりとなぞるような第3楽章、木管楽器が良かったけれども、なかでもクラリネットのソロと寄り添うファゴットが素適でした。 そして終楽章では独唱陣が4人とも粒が揃っていて表現力も豊かでしたし、合唱はいつもながらしっかりとした壁のように声が出ていて、オーケストラとともに渾然一体。 男声が少なく見劣りはしますが、以前と同じく各声部がとてもしっかりとしていて、掛け合い、響きあう合唱は感動的でした。 女声が多いせいでしょうか、やや明るめの印象になったように感じましたけれども、オーケストラの音色もまた明るめでした。 しかし男声もオケの低弦とティムパニともに要所をキリっと締めていて高揚感がありました。
全体的な印象としては、安野さんがチェロ奏者として活躍されているからでしょう、弦楽アンサンブルが実に素晴らしかった。 力感のある低弦、とくに第九では栄島さんが2nd.ヴァイオリンに回っていたのでよく歌う内声部にハッとさせられる場面も数多くあり、これまでとちょっと違う第九を楽しんだ気分。 きちっと統率されていながらも、よく歌ってもいて、聴いていると楽しくなってくるような演奏であったように思います。 安野さんの色かもしれませんね。
これに先立って演奏された歌劇「椿姫」より第1幕への前奏曲。 落ち着いていて、丁寧ながらも明るさと楽しさを含んだ演奏、今思うと第九で感じたエッセンスだったのかもしれません。
そして第九の合唱指導をされている内藤里美さんが歌われたアリア「ああ、そは かの人か〜花から花へ〜」も華やかさのある声で楽しませて頂きました。 声量も充分ながら刺激的な響きのないのはオーケストラも同じです。
演奏会の締めは、ポキッと折って光らせるライトを振って会場とともに歌う「ふるさと」、そして「蛍の光」。 年越しの恒例行事の一つになった感じですね。 清々しい気分でホールを後にすると、天理駅前のイルミネーションがまたとても綺麗。 しばらく振りでしたが、暖かな気持ちとなった第九演奏会でした。
いい時間をありがとうございました。
以下、未稿