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第4回 ホール・バルティカ演奏会 |
真摯でスピード感のある演奏(戻る)
日時:2014年8月31(日) 15:00開演(14:15開場)
場所:兵庫県立芸術文化センター・KOBELCOホール曲目:ヘンデル/オラトリオ「メサイア」
独唱:内藤里美(S)、野上貴子(A)、山本康寛(T)、井上敏典(Br)
合唱:ホール・バルティカ
チェンバロ:吉竹百合子
管弦楽:セント・マーティン・オーケストラ
指揮:河崎 聡
「バルト海の合唱団」という意味を持つ合唱団ホール・バルティカ。 昨年3月の第3回定期演奏会・ハイドン/オラトリオ「天地創造」以来、1年半をかけてヘンデルのオラトリオ「メサイヤ」に挑戦。 メサイヤというと、グーセンス編曲の豪華絢爛たる演奏(ビーチャム指揮ロイヤルフィル)が浮かんでしまう輩なのですが、今回はノヴェロ社のショー版を使われていたのでしょうか、真摯でスピード感のある演奏に接し、やはり「メサイヤ」っていい曲なのだな、と今更ながら心奪われました。
管弦楽を受け持っているセント・マーティン・オーケストラの音楽監督である河崎聡さんが、この合唱団も指導されています。 当然のことながら、一体感のある演奏となっていましたが、オーケストラは対向配置とし、弦楽器を 6-5-5-4-3 に絞り込み(しかも多くの場合では 5-5-3-3-2 になっていたようですし、ヴィオラが出番の無い場面も多くありました)、ノン・ビブラートのピリオド奏法を採られていたようです。 全曲、少ない低弦がしっかりと曲の下支えをし、キレの良いスピード感のある演奏としていたのに好感が持てました。
今回も合唱団がよくコントロールされてパワフルな歌唱が素晴しかった。 そして何より、ここでも河崎さんのコントロールが良く効いていました。 各パートの纏まりやパート間の連携、そしてオケとの連携も良く、合唱もまたスピード感を感じる歌声でドライブされていて、魅了されました。 やや絶叫調に聴こえた部分も無くはなかったけれど、基本的に響きの角を取ったやわらかな響き。 これに真摯さや弾力、スピード感が加わったという印象。 特筆したいのは全休止となった時、ピタリと決まって合唱団の残響がホールに響いていたのが素晴しかった。 感動を大きくしました。
独唱陣の皆さんも声質の揃った人選としていたのでしょうね。 皆さん、やはり声の響きの角が取れ、まろやかさが特徴的でした。 ソプラノの良く透って可愛らしくも暖かな声がとても魅力的。 うっとりしました。 そしてアルトは深く響かせたときの表現力の豊かさが見事でした。 テノールは何より艶のある声、立ち姿も綺麗で冒頭より魅了されました。 ただしバリトンは声量もあって声もよく届きましたけれど、発声がやや不明瞭であったのでしょうか、掴みどころがなくてちょっと残念でした(偉そうにすみません)。
前回演奏会のプログラムがハイドン「天地創造」、マイナーだったからでしょうか、演奏会場となった吹田メイシアターには半分ほどの入りだったのでとても残念でしたが、今回は1階席はほぼ満席、2階席もまた8割ほど入っていたのではないでしょうか。 綺麗なホールで大入りのお客さんとともにメサイヤを楽しみました(隣のご婦人は時おり小声で歌っておられましたし、通路反対側のご老人はハレルヤコーラスで国王陛下のように起立しておられました)。
次回はやはり1年半後の2016年2月14日、ザ・シンフォニーホールでオルフ「カルミナ・ブラーナ」に挑戦されます。 好きな曲ですので楽しみにしたいと思います。 演奏に係わった皆さまお疲れさまでした。
以下、未稿