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六甲フィルハーモニー管弦楽団 第39回定期演奏会 |
弦楽器群がしっかりしているのが強み(戻る)
日時:2015年3月1日(日) 14:00開演(13:30開場)
場所:神戸文化ホール・大ホール曲目:ボロディン/歌劇「イーゴリ公」序曲
ビゼー/交響曲 (-*)
チャイコフスキー/交響曲第5番
(アンコール)チャイコフスキー/歌劇「エフゲニー・オネーギン」よりポロネーズ
指揮:松井真之介、森 康一 (-*)
朝から冷たい雨が降るなか、それでも神戸文化ホールの1階席は8割以上入っていたのではなかったでしょうか。 オーケストラも熱い演奏ながら常にクールでカッコ良い演奏。 いずれも聴き応えがありましたが、アンコールにかかったエフゲニー・オネーギンのポロネーズ。 この演奏はエンターテイメント性をぐんと前に出し、会場を大いに盛り上げてのお開き。 雨の中、奈良より神戸まで出てきた甲斐もありました。 存分に楽しませて頂きました。
冒頭のボロディンによる「イーゴリ公」序曲、この曲をこんなに面白く聴けたのは指揮者の松井さんによるところ大でしょう。 伸びあがったり、時に踊ったりしながらも、きちんとオケを制御していました。 見て、聴いて、とても解りやすい感じがして、こちらもなんだかワクワクしながら聴いていました。 オケは各パートがよく纏まっていて、とくに弦楽器群(11-10-8-6-7 の通常編成)がしっかりしているのはこのオケの強みですね。
続くビゼーの交響曲、まさに春らしい曲ですが、ちょっと遅めのテンポ設定で、明るく派手になりがちなフレーズもきちんと抑えた上質な演奏に仕上がっていました。 こちらは森さんの手腕によるところ大でしょう。 とくに感じ入ったのは第2楽章、柔らかでしっとりとしたオーボエ、この楽章の白眉でありましたが、各パートとともに素晴しくて、この楽章全体をこんなにもうっとりと楽しめたのは初めてのように思います。 ここでも弦楽アンサンブルが安定していて、いい響きで絡み合っていたことが土台になっていましたね。 明るく元気に春らしく・・・この曲によくある演奏ですけれど、このように端正に纏めた丁寧な音楽造りに唸りました。
休憩を挟んでメインのチャイコフスキーの交響曲第5番。 この演奏は何といってもティムパニの活躍に尽きる、そんな感じで聴いていました。 オーケストラの中央奥・最上段に君臨するティムパニ、といった感じ。 終始キレの良く打ち込み、曲の芯をしっかりと形成し、そしてクライマックスではスピード感あるロール。 強打のティムパニの響きがホールに響き渡って曲をグイッと盛り上げていました。 そんなに出しゃばっていいのか、と時に思えるほどに存在感たっぷりでしたね。 それに引き換え、抑制かかった金管楽器群が大人しく感じるほど。 終楽章ではホルン6本(全員女性)がベルアップして頑張っていましたけれど、ホルンは終始大人しかったですね。
指揮者の松井さん、この演奏でも大きな分かりやすい動きで感情を乗せてゆきますが、基本的に曲の骨格はとても端正でオーソドックス、と受け取りました。 メリハリつけながらも丁寧に曲を進めている感じ。 しかしティムパニが気を吐いているのでパワフルになっている・・・これは狙ったものなのかは判りませんが、盛り上がったことは確か。 終楽章でのピークの形成、そして行進曲となって熱演、というより力演として見事な幕切れでした。
そして冒頭に書いたとおりアンコールはわざとちょっとタガを緩めてぐいぐいと盛り上げてのお開き。 楽しかった。 どの演奏も満足いたしました。 ありがとうございました。
そして次回の第40回定期は客演指揮に井ア正浩さんを迎えてマーラーの交響曲第7番ですね。 こちらも楽しみです。
以下、未稿