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オーケストラ・アンサンブル・フォルツァ 第19回定期演奏会 |
一致団結したオーケストラによる溌剌とした演奏会(戻る)
日時:2015年5月24日(日) 14:00開演(13:15開場)
場所:八尾市文化会館プリズムホール・大ホール曲目:モーツァルト/交響曲第31番ニ長調「パリ」(*)
メシアン/忘れられた捧げもの
デュカス/交響曲ハ長調
指揮:大塚洋平、松永健司郎 (*)
パリをテーマにしたフォルツァらしいちょっと変わったプログラム、団内指揮者とともに一致団結したオーケストラによる溌剌とした演奏会でした。
プログラムによると、モーツァルトの曲はフォルツァでは初登場らしいですが、パリで客死した母親を悼み、聖歌「エレミアの哀歌」から引用をして、8月15日の聖母昇天祝日に再演された「異稿」と呼ばれる楽譜と使った演奏から開始。
フォルツァらしく一筋縄ではいかない凝ったプログラムですが、もとより版や稿の違いに無頓着(というより無知)な当方は、メリハリのよく効いて清新なモーツァルトの演奏を楽しみました。 オケは10-10-9-6-4の通常配置、平土間で暗譜で流麗に振る松永さん。
第1楽章は松永さんのハナ息とともにキレ良く開始するも、金管楽器を程よくブレンド響きが魅力的。 コンパクトに打つティムパニも素敵でした。
第2楽章は柔らかな響きでスタート、慈しむように丁寧かつ伸びやかな音楽で暖かな空気が漂いました。
終楽章はチャーミングなアンサンブルが力を次第に増します。 場面転換も見事に決めた清新なモーツァルト。 音量を増しても抑制を良く効かせて、初夏らしい少々熱っぽい感じとした演奏が素晴らしかったですね。 いいものを聴かせてもらった、そんな感じ。
いったん全員が退場したあと 13-9-9-8-4の編成となりました。 前曲と違ってチェロが客席側に出てきた配置。 指揮者の大塚さんの意図するところは判りませんが、メシアンが22歳、1931年の作品「忘れられた捧げもの」が格調高く演奏されました。
3つのパートが続けて演奏されて、正直出てくる音を聴き続けていたら、終わった・・・という感じ。
第1部、柔らかく密やかな弦楽合奏に不安げなホルンの響きが集中力高く挟みこまれたのが進んでゆき、いきなり大太鼓の一撃。 ここから第2部だったようです。 タイトなトランペット、機動力のあるオケの演奏されて進むのをただただ聞いていました。 すっとこれが退いたのが第3部、透明感のある静かなアンサンブルが今度は延々と続きます。 ヴァイオリンとヴィオラのアンサンブル、ヴィオラ9名のうち3名はお休みで6名による演奏だったのに気づき、徐々に弱音となって止まって終了。 振り返ると格調高い演奏だったなぁ、というのが印象でした。
15分間の休憩のあとメイン・プロのデュカスの交響曲ハ長調。 自己に厳しく作品の大半を破棄したデュカスが31歳、1896年に書いた交響曲。 曲についてはよく判っていませんが、最後までとてもよく纏まった見事な演奏だったと思います。 何より指揮者とオケとの一体感がありました。 プロの客演指揮者にぐいぐいと引っ張ってもらう単に巧い演奏ではなく、すべて身内の団内指揮者のもとでの団結、オケの各パートは主張しながらもよく聴きあって突出することなどなく、全体として響きが調和していたのが印象に残りました。
第1楽章、弾けるような軽やかな開始、各パートが良く纏まってオケ全体もよく纏まった響きで進みます。 うねるように、巻き込むような熱い音楽。 堅めに打音のティムパニ、マレットを持ち替えて打つ響きにも意味があるのでしょうね。 指揮者の大塚さんは淡々と振っているのですが、各パートもよく考えて演奏しているみたい。 透明感の高い重厚な響きをすっと切ってお終い。
第2楽章、明るい木管の響きにホルンの長閑な響きが相俟っての開始。 ここでもオケ全体がよく纏まっているのが印象的で、各パートが全体の一部であることを良く判って演奏されているような感じ。 伸びやかで明るく落ち着いた音楽になるとオルガン・トーンのような響きに包まれました。
第3楽章、明るく賑やかな合奏、左にホルン、右にトランペット・トロンボーン・チューバそしてコントラバス、中央にはティムパニが屹立して賑々しく進みます。 寄せては返す響きがフランクみたいにも思えましたが、明るい響きですね。 トランペットの響きが華やかさを添えた熱い響きとして力強く締めました。 最後までよく纏まって聴き応えありましたね。
耳馴染みの少ない(無い)曲の演奏会でしたが、団内指揮者とともに一致団結したオーケストラの演奏は充実していて満足。 アンコールが無かったのは、オーケストラもこれらの曲にのみ集中したからでしょう。 納得度の高い演奏会でした。 皆さんお疲れさまでした。
以下、未稿