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Ensemble Enchantee 〜ルネサンスからバロックへ〜 |
深い響きに包まれてルネサンスから前期バロック音楽を体験できた貴重な演奏会(戻る)
日時:2019年2月10日(日) 16:00開演(15:30開場)
場所:LA FLUTE ENCHANTEE (ラ フルート アンシャンテ)曲目:T.スザート/戦いのパヴァーヌ
G.チーマ/3声によるソナタ
M.ウッチリーニ/ベルガマスカ
R.カー/イタリア風グラウンドによるディヴィジョン
G.チーマ/2声のソナタ
M.プレトリウス/テレプシコーレより
(休憩)
S.ロッシ/3声のシンフォニアより
G.フォンタナ/ソナタ 2番
G.ガブリエリ/カンツォン 1番
J.リュリ/マレのガヴォット
G.ベルトーリ/ソナタ 1番
A.ホルボーン/組曲
演奏:ヴァイオリン:三田 哲、椎 健太郎
リコーダー :柳澤哲哉
ツィンク :池田有加、西崎允子
ヴィオラ・ダ・ガンバ:田渕陽介
ドルツィアン:二口晴一
リュート :鈴木明彦
<賛助出演>
チェンバロ :中田聖子
アマチュアとプロ奏者による古楽器アンサンブルの初めての演奏会。 会場は六甲アイランドにある楽器屋さん(アンティークフルート屋さん)のサロン、天井がとても高く、深い響きに包まれてルネサンスから前期バロック音楽を体験できた貴重な演奏会でした。
配布されたプログラムの曲目は順不同、1曲毎にお話しされる曲をメモって上述のように並べ替えました。 しかし、どの曲を聴いても、どこから聴いても同じように聴こえてしまう・・・時おり楽器間での掛け合いはあるけれど、ユニゾンで色々な楽器が同じ旋律を演奏するのがほとんどなので、バッハやヴィヴァルディなどのバロック音楽に馴染んでいると道に迷った気分でしょうか(同行者はそうだったようです、当方も似たり寄ったりでしたが)。
でも1曲毎に編成を変えて演奏される曲はいずれもしっかりとした通奏低音に乗って、さまざまな表情も見せていました。
第1曲目は全員での演奏、片張り太鼓も交えてスザートの「戦いのパヴァーヌ」。 多分、今回の演目のなかで唯一録音を持っている曲。 冒頭こそ手探り状態かな〜ってな印象を持ちましたがしだいにこなれて(当方の耳が慣れてきたのかも)にぎにぎしい演奏として幕を開けました。
2曲目、チーマの「3声によるソナタ」は、ヴァイオリンとツィンクによるソロのかけあいに通奏低音(ガンバ、リュート、ドルツィアン、チェンバロ)が絡んで真摯な表情での演奏。 ツィンクにとっては少々難しい曲だったのかな。 緊張感も感じた真剣な響きでした。
3曲目、ウッチリーニの「ベルガマスカ」は、ヴァイオリン2本とガンバ、リュート、チェンバロによる編成。 リュートによる開始より、通奏低音に乗せた優雅なヴァイオリンのアンサンブルを楽しみました。
4曲目、カーの「イタリア風グラウンドによるディヴィジョン」、リコーダーとヴァイオリン、ガンバ、チェンバロによる編成、ゆったりとやわらかなリコーダーでしたね。 カーは英国人だそうで、曲を聴いていると「パーセニア」に似ている印象も持ちました。
5曲目、チーマの「2声のソナタ」、リコーダーとガンバ、チェンバロによる演奏、リコーダの軽やかで艶やかな響きとガンバの暖かな響きがよくマッチしていました。
6曲目、プレトリウスの「テレプシコーレ」、チェンバロを除く全員による演奏。 平易な旋律をユニゾン(ホモフォニー?)で進める多彩な響き、後半2曲はスピードアップして熱っぽく前半プログラムを締めました。
20分間の休憩を挟んで後半1曲目はロッシの「3声のシンフォニア」より2曲、ツィンク2本とガンバによる演奏。 柔らかなガンバの上で、華やかなツィンク2本の掛け合いを楽しみました。
後半2曲目、フォンタナの「ソナタ 2番」はヴァイオリン・ソナタ、ガンバとチェンバロが支えます。 伸びやかな響きのヴァイオリン、後半技巧的なフレーズも交え、華やかでとても聴きやすい、というか耳に馴染みやすい曲でした。
後半3曲目、ガブリエリの「カンツォン 1番」、チェンバロを含まない合奏(ただしツィンク1本)ですが、各楽器間での旋律の絡みがなくユニゾン(ホモフォニー?)で進みます(絡んでいたかもしれませんが聞き取れない?)。 リードはリコーダーでしょうが、中央に座ったガンバが全体の演奏の芯になっていた印象を持ちました。
後半4曲目、リュリの「マレのガヴォット」は、ドルツィアンとガンバによる演奏、深い響きのドルツィアンにしみじみと感じ入りました。 ファゴットの原型の楽器ですが、素朴で深い音色に感銘です。
後半5曲目のベルトーリの「ソナタ 1番」もドルツィアンとリュートに加えてカスタネット(タンバリン持ち替え)も参加して、落ち着いた演奏が展開されました。 静かにコツ、コツ・・と間をおいて打つカスタネット、見るからに赤と青の児童用なのに何とも言えない響きの間に感じりました。 もちろんドルツィアンは静かで落ち着いた響き、懐かしさを感じさせるリュートが絡んで素敵でした。
最後の曲は、全員が集まってホルボーンの「組曲」より6曲が演奏、いずれも華やかさの中に真摯な響き、2曲目のツィンクの晴れやかさ、5曲目で明るくノリの良いリズムでは当方も自然と足でリズムをとって楽しく聴かせてもらいました。 そして最後は技巧的で一段と華やかな演奏となって締めました。
リュートとチェンバロはプロ奏者、ガンバとドルツィアンはプロ奏者の方が古楽器を演奏されていたそうです。 でもプロだから、アマだからというよりも、全員が役割を担って真摯に伝えようと演奏されている姿が何より良かったですね。 またヴァイオリンには現代のにはあるあご当てはもちろんなく、肩甲骨あたりに押し付けての演奏。 また弓も湾曲した古楽器のものでした。 当方が学生時代の頃の古楽器演奏では、弓は現代のものを使っている方をよく見かけたものですが、古楽器がより身近になったのでしょうね。 とにかく普段あまり耳にすることのないルネッサンスや初期バロック音楽を紹介し、また新たな魅力を吹き込んでくださることを期待して会場を後にしました。
以下、未稿