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ランパル、スターン・トリオのモーツァルト/フルート四重奏曲 |
深刻にならずに聴くのにはもってこい(戻る)
1982年8月に発売されたソニーのベスト・クラシックス100の1枚。 1969年12月22,23日録音なので何度目かの再発売盤です。 定価2,000円ですが、学生生協で確か25%OFFで購入したように記憶しています。 いまでこそ室内楽を聞く機会も少しは増えましたけど、学生時代では本当に珍しい室内楽のレコードでした。
このモーツァルトのフルート四重奏曲。 ソニーの「音のカタログ」として、このシリーズ全100曲の聴きどころを2〜3分づつ収録していた2枚組のLPレコードで知りました。 クラシック音楽を聴き始めた頃だったので、色々な曲を知るのに「音のカタログ」は重宝しました。 そして、ここで聴いたモーツァルトのフルート四重奏曲、通常第1番とも呼ばれるニ長調 K.285の冒頭が収録されていて、煌びやかで伸びやかなフルートの音色に虜になりました。 じつに魅力的でした。 そしてそれ以上に、スターン、シュナイダー、ローズとのトリオ演奏、じつに息の合ったセッション風。 コレ欲しい・・・って思いました。 しかし貧乏学生、なかなか2,000円を出す勇気がなかったのですけれど、ようやく帯広の学生時代に割引購入することができたというわけです。
フルート演奏というと、今ではランパルよりもニコレの渋さのほうを好むのですが、10代から20代の初めの頃は、煌びやかな響きのランパルの演奏に魅力を感じていました。 また、エラートの廉価盤ではランパルの名前がよく出ていたことで、より身近に感じていたこともあると思います。 だからフルートの名人といえばランパル、そんな感じでしたね。
さてこのレコード、先にも書いたとおり、ランパルのインタープレイもさることながら、スターンを始めとするアメリカの演奏家たちとの息のあったセッションが何より素晴らしいですね。 腕利きの人たちが集まって、肩の力を抜いて自分たちの演奏を楽しんでいる、そんな風に感じる演奏です。 だから聴き手のこちらも硬いことなど言わず、音楽に身をゆだねて聴く、すると気分もしだいに開放されていきます。 いろいろなことでちょっと疲れたときなど、深刻にならずに聴くのにはもってこいでしょう。 ランパルの清澄な響きもそんな気分にさせてくれます。