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ピエール・デルヴォーのフランス管弦楽曲集 |
想い出にだけ留めておくのがもったいない(戻る)
ピエール・デルヴォー、1917年フランス中北部ジュヴィシー・シュル・オルジュに生まれた。 父親はコロンヌ管弦楽団の楽員であった。 9歳でパリ音楽院に入学、ピアノをアルマン・フェルテ、イシドール・フィリップとイーヴ・ナットに学んだ。 1930年に卒業と同時にパドルー管弦楽団に打楽器奏者として採用され、そのかたわら和声法と対位法をジャン・ガロンとノエル・ガロンに師事。 1945年にパドルー管弦楽団を指揮してデビュー(一説には1944年デビュー説あり)、その後パリ・オペラ座の首席指揮者を始めとして主にフランスで活躍した指揮者。 1965年にNHK交響楽団を客演指揮してから数度来日したが、1992年に75歳で亡くなった。
いきなり経歴を書いたのは、インターネットを検索してもほとんど情報が無かったからです。 昨年ビゼーの歌劇「真珠採り」のCDが再発されたようですが、ほとんど忘れられてしまった指揮者なのかもしれません。 しかし僕と同年代の方にとってピエール・デルヴォーという指揮者は想い出深い指揮者の一人かもしれませんね(林さんも取り上げていらっしゃいますしね)。
そのピエール・デルヴォーのフランス管弦楽曲集が200円で叩き売られていたのでメンデルスゾーンのイタリア交響曲とともに救出してきました。 ニュー・セラフィム・ベスト150のものですが、セラフィム1000シリーズでは、AA5038 として出ていたものと同内容です。まず、第1曲目はデュカスの魔法使いの弟子。 この曲、オーマンディの豪華絢爛たる演奏や、ストコフスキーのファンタジアで馴染んでしまってますが、こちらの演奏もなかなかのものです。 余計な贅肉はついてなくて、直裁的な表現でグイグイと押しよせてくる感じ。 意外とエネルギー放射の多い演奏ですね。
第2曲目はシャブリエの狂詩曲スペイン。 色彩感ももちろんありますけど、こちらも躍動感を強く感じる演奏です。 緊密なアンサンブルよりもストレートな表現でぐいぐいと曲を盛り上げていくのがとても面白いなぁ。
第3曲目はドビュッシーの牧神の午後への前奏曲。 凝縮された音楽ですね。 フルートを浮き上がらせるような浮遊感でうやむやのうちに曲を進めるようなのではなく、全体をよく見とおしているような感じがしますね。 正直なところ、ドビュッシーはうやむやのうちに始まって終わってしまうので苦手なんですけどね、これはいいですね。
レコード盤をひっくり返してB面に。
第1曲目はラベルのボレロ。 鷹揚な感じのする音楽で、オケの精度はそんなに高いとは思いませんが味のある演奏ですね。 16分40秒かけてゆったりと大きく歌いあげてゆきます。
第2曲目はサン=サーンスの死の舞踏。 まずこの曲の冒頭、独特な響きの表現がとても見事です。 ヴァイオリンの独奏が入り、そしてガイコツたちの踊りへと曲が展開されてゆきますが、これらをあっという間に聴かせてしまいます。 この洗練された曲運び、聴かせ上手なところがたまりません。 このレコードの中では、この演奏が一番好きです。
このフランス管弦楽曲集。 中古レコードでは時々見かけますが、日本ではCDにはなっていないみたいですね。 サン=サーンスの死の舞踏は、パリ音楽院管との交響詩集の中にあるようですが、このまま忘れ去られてしまうのは、やっぱりもったいないことだと思います。