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サヴァリッシュ/VSOのブラームス交響曲第2番 |
小春日和によく似合う演奏(戻る)
秋も深まりブラームスのシーズンになりました。 でも、生憎といっては何ですが、今年はドヴォルザークの没後100年。 アマオケの演奏会ではドヴォルザーク中心のプログラミングで、ブラームスの交響曲が演奏されるところはないようです(僕が行ける範囲ですけれど)。 ということでレコード鑑賞でブラームスを、と引っ張り出してきたのがこれ。 サヴァリッシュがウィーン交響楽団を振った録音したものです。 最近これがマイブームとなっています。
ヴォルフガンク・サヴァリッシュさん。 僕がクラシック音楽を聴き始めた1972年頃、すでにNHK交響楽団を盛んに振っておられたのをTVでよく見ていました(当時のN響アワーって木曜日だったかの9時頃じゃなかったかな)。 でもどこかピンとくることが少なくて、きちっとしているけど面白みが少ないよな、なんて感じてました。 そんな風に思っておられる方もきっと多いのではないでしょうか。 真面目なドイツの音楽の先生、そんな印象ですね。
またサヴァリッシュさんのレコードは、当時日本フォノグラムから出ていたグロリアシリーズの通称1,000円盤として出ていました。 このブラームスの交響曲では第2番(FG75)に加え、第1番(FG104)、第3番と第4番がカプリングされた盤(FG111)が出て全集が揃っていたことになります。 これはもちろん僕の守備範囲のド真ん中。 でもいかんせん先のイメージがあったため、当時捕獲したものは1枚もありません。 すべてトンネル・・・だから今、球拾いをしているってことになります。
この僕の買ったこのレコードはオイルショックで1,300円に値上げされたグロリア200シリーズの1枚。 第1番と第2番がカプリングされたものです(FG223)。 音的には詰め込み過ぎですけど、100円で買ったからよしとしましょう。 なおこの他にサヴァリッシュさんの指揮したレコードでめぼしいものを調べてみたら以下のようになりました(200番代がグロリア200シリーズ)。
ワーグナー/名演集(VSO):FG114
ハイドン/交響曲第92番「オックスフォード」・第94番「驚愕」(VSO):FG84
ハイドン/交響曲第100番「軍隊」・第101番「時計」(VSO):FG12、FG221
ベートーヴェン/「田園」、フィデリオ序曲(ACO):FG222
ブラームス/交響曲第1・2番(VSO):FG223
ブラームス/交響曲第3・4番(VSO):FG224
ベートーヴェン/交響曲第7番、シュテファン王序曲(ACO):FG242
メンデルスゾーン/イタリア交響曲(VSO):FG247
シューベルト/「グレイト」(VSO):FG86、FG255
チャイコフスキー/交響曲第5番(ACO):FG273時間をかけてゆっくりと球拾いをしてゆきましょう・・・ おっと、話を戻さなくては・・・
ブラームスの田園交響曲とも言われる第2番の交響曲。 サヴァリッシュさんらしく、知的できちっと纏められた演奏というのが第一印象なのですけれど、余計な思い込みを捨てて聞くと生気のある演奏だということが分かってきます。 しっかりとした枠組みを維持しつつ、躍動感や爽快感が随所に感じられます。 また終楽章のコーダなど熱っぽい語りくちも見事です。 重厚さでいかつく感じる場面などなく、また過剰なセンチメンタリズムもありません。 あくまでもスマートに決めているのはサヴァリッシュさんの若さでしょうか。 1959年10月30日〜11月6日録音とクレジットされていますので、サヴァリッシュさんが35才頃の録音のようです。 深まりゆく秋の一日、それも小春日和によく似合う演奏だと感じています。