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コンヴィチュニーのブラームス交響曲第1番

質実剛健、朴訥とした管楽器にうねる中低弦の魅力(戻る


フランツ・コンビチュニーはゲヴァントハウス管弦楽団を指揮した録音が数多く残されているのだが、何故かブラームスの交響曲はこの第1番しか残されていないようだ。 CDでは輸入Ars Vivendi という旧東ドイツのレーベルで出ていたのは知っていたが(このレーベルではBerlin Classicsから出ていたのと同じブロムシュテッドのシューベルトの交響曲を買ったことがある)なかなか手に入らず、ようやくキングの初期GTシリーズ(世界の名曲1000シリーズ)のLPとして100円で捕獲できた。 長く待った甲斐があったというものである。 なおこのLPにはオイロディスク原盤と書いてある。
演奏は一口に言うと質実剛健な演奏ということになるのであるが、けっしてゴツゴツとした粗い演奏ではない。 全体的にゆったりとしたテンポで進む。 そんなゆったりとした呼吸を感じることのできる第4楽章冒頭のピチカートのなんと風情のあること。 そしてホルンの響きもどこかしらぶっきらぼうである。 これに続くフルートも美音ではあるがどこか朴訥とした響きが懐かしさを醸し出す。 現代の機能的なオケでは出来ないような味わい深さに満ちている。 そして全曲を通じ、中・低弦が時にはうねるように、そしてまた時には優しく寄り添うようにしっかりと曲を支えているのが見逃せない。 コンヴィチュニー/LGOの味わい深さがぎゅっと凝縮されたような演奏である。