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エッシェンバッハの「子供の情景」ほか |
繊細で多感なシューマンのピアノ曲(戻る)
子どもの時にピアノはおろか楽器なんぞ習ったことがないせいかピアノ曲や歌曲はどうも苦手である。 ポップスやロックの延長としてクラシック音楽に興味を持ったためかどうしても管弦楽曲主体なのだが、それでもごくたまにピアノ曲を静かに楽しみたいこともある。 そんな時用にとこの前の出張時に100円で捕獲したのがこのレコードである。
クリストフ・エッシェンバッハ、最近は指揮者として、奇抜な演奏を聴かせてくれる存在として期待している・(?)・のだが、若い頃のピアノ曲はとても清楚で清々しいので注目している。 彼が演奏するモーツァルトのトルコ行進曲付きのソナタのレコードを100円で捕獲したことが始まりなのだが、ちょっと遅いテンポで優しく歌いかけるような演奏で大いに気に入った。 そして今回のシューマンのピアノ曲の捕獲となったのだが、これはモーツァルトにも増して素晴らしい。 エッシェンバッハの持つどこかしらほの暗い雰囲気が、シューマンによく合っているようである。 ゆっくりと弾く「トロイメライ」など26才の若者の演奏とは思えないほど詩情にあふれているし、それに続く「ろばたで」での気品のある演奏が特に気に入っている。 しかしこれに限らずどの曲も、どこかしら繊細で壊れそうな面を秘めている。 特に最後に収められた「森の情景」からの4曲(森の入口、寂しい花、予言の鳥、別れ)は、孤児でもあった多感な青年エッシェンバッハと悩める文学青年シューマンの素晴らしい出会いが記録された演奏ではないだろうか。 秋の夜長にしみじみと楽しみたいレコードである。