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ホルダのファリャ/三角帽子

情熱的でかつ整った演奏が魅力的(戻る

台風一過、ちょっと熱気も和らいだみたい。 この土日は溜まったレコードや気になっているレコードをやや精力的に聴いています。 そのなかでも聴いててワクワクするのが、このエンリケ・ホルダ指揮によるファリャの三角帽子。 とても情熱的な演奏なんですけど、ロンドン交響楽団がとっても巧く、この曲を魅力をあますところなく伝えてくれます。 このオケ特有の粘り気ある音色やリズム感などがスペイン風にうまくマッチしてて、聴いていて楽しくなってくる演奏です。

これはコロムビア・ダイヤモンド・シリーズの1,000円盤LPの1枚です。 発売(1969年)当時から名演と言われていたレコードみたいですけれど、その頃は興味がなかったため、今年の6月にようやっと捕獲しました(300円)。

欲しい欲しいと思っているとひょんなことから入手できる・・・そんな経験は皆さんお持ちでしょう。 これもそうでした。 その日、いつもの中古屋さんに行ったものの変わり映えしない品揃えに歌謡曲のコーナを見ていた時でした(中森明菜が100円かぁ殻なんて思っていると)。 店員さんが出てきてクラシックのコーナに3枚の中古盤を追加。 その一番上にあったのがコレでした。 もう「買ってください」と言わんばかりに置かれてました。 長く探していたレコードだけに、あっ! と驚いたものの、平静を装って捕獲しましたよ。 慌てる乞食は貰いが少ない・・・なんて思いながら・・・

さて、エンリケ・ホルダは1911年生まれのスペインの指揮者です。 スペイン人指揮者というと同年代のアタウルフォ・アルヘンタ(1913年生)が思い出され、またメキシコ人指揮者ですけどエンリケ・バティス(1942年生)なども想像されて、ハチャメチャな演奏という印象が正直ありました。 最近一部でもてはやされている爆演と称される演奏ですね。 そんな感じなのかなぁと聴き始めたところ、まったく違いました。 確かに、ギラギラと輝くスペインの陽光をたっぷりと感じるものの、とてもしっかりとした演奏が何より魅力的です。 多くの方が、この演奏を推される理由がわかりました。

あるサイトによると、ファリャのオーケストレーションは緻密なので、オケにも技術が要求されるとの記載がありました。 確かに、この曲も色彩感があふれていますけど、オーケストラ編成は2管となっています(打楽器は推奨6名みたいですけどね)。 またそのサイトには、いわゆるお国ものとしてスペインのオケでなく、ロンドン交響楽団を使ったのは正解とも書かれていました。 たしかに、粘り気ある音色や弾むようなリズム感、ロンドン交響楽団はとても巧いですね。 ただし、バルバラ・ホヴィットの歌は、洗練とは程遠いものがありますけど、ま、これはこれで土俗っぽいスパイスとなってていいかもしれません。 

とにかく聴いていて楽しく、万人が楽しめる演奏は、この曲を誰かに紹介するにはもってこいの演奏でしょう。 ダイヤモンド1000シリーズに含めた日本コロムビアの見識の高さを感じます。