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コンヴィチュニー/バンベルク響のドヴォルザーク「新世界」 |
渋いドイツの響き(戻る)
日本コロンビア・ダイアモンド・シリーズの1枚(オイロディスク原盤)、古本屋ブックオフで300円で捕獲。
このダイアモンド・シリーズはクラシック音楽を聴き始めた頃に、同じくコンヴィチュニー/ゲヴァントハウスでベートーヴェンの田園交響曲を買った懐かしいレーベルである。 しかし今回ブックオフでこのLPを発見するまで、こんな録音があったことすら忘れていた。 ちょっとした興奮をいだいて持ち帰り聴いてみたが、予想どおりどこまでもコンヴィチュニーらしい演奏であった。
何より安定感があって、どこまでも渋い演奏である。 簡単に言えばドイツ的な演奏、と片付けられてしまうのだろうが、決して力でねじ伏せるような単純な演奏ではない。 通俗名曲として聴き慣れた曲であるし、演奏もまったくもって奇を衒ったところはないが、響きの中に常に新鮮な息吹を感じさせる。 伝統芸のような演奏、と言ってよいだろうか。
全体的に中低弦の目立つ演奏だが、これらがもたれて響くことはなく鋭角的である。 オーケストラもまた奮闘している。 第3楽章のスケルツォでのヴィオラの渋い響きがバンベルク響らしさだろうか。 第3・4楽章での堅く引き締まったリズムの処理はコンヴィチュニーらしさをよく出しているように思う。 とにかくこの2つの楽章が素晴らしい。
しかし何度聴いても聴き飽きしない演奏である。 コンヴィチュニー・ファンは必聴と思われる。