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ヴィンシャーマンのバッハ/オーボエ協奏曲

凛として明晰なオーボエ協奏曲(戻る

年の初めはニューイヤー・バロック。 そんなことが通じるのは同世代でしょうね。 とにかく年始の爽やかな気分にバロック音楽がよく似合います。 たしか昨年の年始にも同じようなことを書いてエラートのレコードを聴いていましたけれど、今年はちょっと渋く、ヘルムート・ヴィンシャーマンを取り出しました。 凛として明晰なオーボエが素適です。 聴いていると自然と背筋が伸びてくるような感じさえするほどです。 

ヴィンシャーマンは1920年生まれだから今年で84歳ですか。 昨年末に来日してかくしゃくとしたところを見せてくれたそうですが、この演奏は1962年7月に録音されたものです。 なお同年2月に初来日していて、その時のことがジャケットの解説(服部幸三)には書かれていますが、たった一夜だけの演奏会ながらとても深い感銘を与えたとのこと。 まさに一番脂がのっていたころだと思われます。

ところで、ここに収められたJ.S.バッハのオーボエ協奏曲。 チェンバロ協奏曲ホ長調BWV1053を手がかりに復元されたものだそうです。 詳細は省きますが、このチェンバロ協奏曲の各楽章が教会カンタータを流用したものであることが分っているそうです。 バッハが教会カンタータに世俗的な協奏曲を転用している例もあることから、さらにこのカンタータのもとになるケーテン時代のオーボエ協奏曲があったという想定のもとに復元したのだそうです。

さて演奏ですが、第1楽章はのびやかで弾んだ弦の旋律をバックに、艶やかなオーボエが登場すると気持ちがぱっと明るくなります。 原曲のチェンバロ協奏曲BWV1053のCD(レオンハルト)を聴いてみましたけれど、出だしの旋律など全く同じなんですが(当たり前かもしれませんが)、ソロ楽器が登場すると全く違う曲みたいですね。 オーボエという楽器の魅力がそのように聴かせてしまうような感じがしました。 第2楽章は叙情的な弦楽器の旋律、とくに低弦楽器が同じ音型を繰り返すことで憂いを増幅させているみたいなんですが、そこにオーボエの旋律が瞑想的に絡んできて、美しくも哀しいといった感じがします。 イタリア風のカンタービレの旋律と解説には書かれています。 そして終楽章は軽快なロンドです。 旋律を5回繰り返しますが、ここでも明晰な響きに生命力が感じられる音楽がとても魅力的です。 

ヴィンシャーマンのオーボエの響きには派手さや甘さがありません。 凛とした響きで、とても清潔な感じがします。 しかし、それでいて生き生きとしていて躍動感があって堅苦しさをまったく感じさせません。 何度聴いてもあきのこない響きがとても魅力的です。