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スィトナー/シュターツカペレ・ベルリンの田園交響曲 |
クラシック音楽の王道・田園交響曲の王道(戻る)
ベートーヴェンの田園交響曲はクラシック音楽の王道中の王道ともいえる名曲。 そして、この名曲の名演奏・名録音は数々ありますけれど、このスゥイトナー指揮シュターツカペレ・ベルリンによるものは、その中でもまさに王道をゆく演奏でしょう。 個性を際立たせることなく、普通のテンポで、普通に演奏されています。 何も変わったことをしていないのに、聴いたあと、ああ田園を聴いたなぁ、という満足感でいっぱいになる演奏です。
シュターツカペレ、国立歌劇場付属の管弦楽団のことをこのように呼ぶようです(日本語では国立管弦楽団という表記になったりもしますね)。 有名なのはドレスデンとベルリンのシュターツカペレでしょう。
ドレスデンのは絹にも例えられるしなやかさが持ち味ですが、ベルリンのは力強さが魅力になっていますね。 しかし、ややもするとそれが荒くなって聴こえることもあるのですけれど、この演奏では、録音の良さもあるせいか、柔らかく深い響きの芯となってその持ち味が活かされているようです。 ヴィオラの響きにはっとさせらたりもします。この素晴らしい録音は、日本コロムビアが東ベルリンまでデジタル録音機材を運んだPCMヨーロッパ録音です。 クリアでかつ力を感じさせる素晴らしい音質で収録されています。 このような素晴らしい録音が、日本人の手によって世に送り出されていることもまた嬉しいところです。
さて、肝心の演奏についてですが、僕が多くのことを述べる必要はないでしょう。 まさに田園交響曲そのものが鳴っているような感じです。 強いて言うならば、前半(レコードA面=第1・2楽章)はしなやかで、後半(B面=第3〜5楽章)は底力を感じさせながらとうとうと音楽が流れます。 クラシック音楽の王道、田園交響曲の王道、そんな言葉が頭をよぎりました。 その王道をこれほどまっすぐに進んで聴き応えのある演奏というのも実に見事というほかありません。
なおこの演奏、コロムビア・ミュージック・エンターテイメントのクレスト1000シリーズの1,000円盤CDで容易に手に入ります。 おまけにLPでは収録されていなかったレオノーレ序曲第3番とフィデリオ序曲も収録されています。 この爽やかな季節にはうってつけな田園交響曲ではないでしょうか。