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シュミット/ケーゲルのブラームス・ピアノ協奏曲第2番

凛としてシャープで力強くカッコイイ(戻る

最近、日本コロムビアからクレスト1000の1枚(1,000円盤CD)として復活したからでしょうね、中古LPに美麗盤が出てきたので救出しました(確か300円)。 ピアニストは僕にクラシック音楽の素晴らしさを教えてくれた一人アンネローゼ・シュミットさま(さまが付くところが重要)。 しかし、それだけ敬慕していてもこの録音は廉価盤に登場しなかったし、おまけに貧乏で1曲1枚主義なんていう時代が長く続いていたので、この出会い始めてだっただけにとても嬉しいものでした。 まさに恵みの1枚。 今なら1,000円盤CDくらいすぐに買えるだろう・・・と言われてしまいそうですけれど、染付いた貧乏はなかなか拭えるものではありません。 とにかく1,000円盤CDは僕にとってはまだまだ踏ん切りの必要な存在なんです。

この録音は日本コロムビアが元気で、PCMの録音機材をヨーロッパにまで運んで独自録音を展開していた頃のものですね。 帯にはPCMヨーロッパ録音シリーズ−71と書かれています。 デジタル録音ですね。 アナログ・オーディオを信奉しているのなら1970年代後半のアナログ優秀録音を聴かないのか、と突っ込まれそうですけれど・・・ でもこの録音を聴いて解ったのですが、我がB級オーディオは1980年代後半の製品だからでしょう(アンプやスピーカは1985年製でプレーヤはもっと前の製品ですから)、この頃のデジタル録音のディスクは非常に細かなディテールまで暖かく再生してくれます。 それにスケールの大きさ(いわゆる空気感のようなもの)も実に自然な感じがして、今更ながらPCM録音の優秀さを思い知らされたような感じです。

さてその肝心の演奏内容なんですが、アンネローゼ・シュミットさまらしい凛としてシャープで力強い響きが素晴らしくて、とにかくカッコイイ。 そしてケーゲル/ドデスデンフィルも無骨な感じがするほど質実として誠実な演奏を展開しています。 しかしそこはさすがにドレスデンフィルという器ですから潤いも充分に感じます。  
とにかくカッコイイ演奏なんですが、なかでも僕が感心したのは第1楽章のフィナーレの部分ですね。 主題が次々と現れては消えて回想したあと、最後はピアノの急速なトリルのパッセージからグイグイと音楽が盛り上がっていくあたり、力強さと繊細さに華麗さが見事にマッチングしていて、聴いていた僕は思わずガッツポーズをしてしまいました。 また第2楽章もピアノとオケがせめぎあいながらクライマックスへ昇りつめていくあたり、ほんとうにカッコイイんですよ。 

アンネローゼ・シュミットさまはついては何度も書いていますが、外面的な華やかさとは違い、凛として力強く誠実な音楽をする人です。 そしてケーゲルは、亡くなってからちょっと(かなり?)マニアックな人気の高さを誇っていて、一種怖い音楽をする人のイメージが植えつけられていますが、生前にリリースされたベートーヴェンやモーツァルトなどの音楽を聴いていた僕にとってはそんな一辺倒な評価はちょっと違うように思っています。 一口で言うならドイツ的で堅牢なブラームスといえるでしょう。 そしてここでは量感のあるとても熱い音楽を演出しています。 
この二人ががっぷりと四つに組んだ素晴らしいブラームスのピアノ協奏曲第2番です。