TOP|演奏会感想文|廉価LP|コンサートホールLP|廉価CD|資料室|掲示板 |
リンデンバークのブラームス交響曲第1番 |
ソリッドに響く現代的なブラ1(戻る)
日本コロムビアから出ていたエラート・レーベルの白いジャケットを中古屋で見つけると今でもハッとしてしまう。 バロックや室内楽中心のちょっと気取ったフランスのレーベルである。 あいもかわらずドイツの質実としたものばかり聴いているばかりじゃあいけないよ、こんなのも聴かないとエリートとは言えないなぁ・・・ と無言で語りかけられているような気がするのである。 そして、そんなエラート・レーベルに存在していたエドゥアルト・リンデンバーク指揮北西ドイツ・フィルのブラームスの交響曲全集のうち第1番と第4番を見つけたので捕獲してきた(各 300円)。
さてどんなブラームスだろうか? 最初、つまみ聴きした限りではエラートらしいあっさりした演奏のように聞こえたのだが、なかなかどうして金管が割れんばかりの燃え立つような立派な演奏なので驚いた。 あっさりと聞こえたのは、ボリュームを下げて聴いていたこともあるけれど、フレーズをやや短く切り上げてテンポよく演奏していることと、あとオケの各楽器の響きをぎゅっと凝縮させた纏めかたをしていることによると思う。 ボリュームを上げてスピーカーを鳴らして気付いたのだが、ホルンやトランペットは硬質なソリッドな音であるが、強奏して割れんばかりの場面も散見される。 しかしまた朗々と歌っている場面でも、響きを外に充分に開放させて鳴り響かせるのではなく、響きに鋭さを持たせたケレン味のない音が特徴的である。 余韻をスパッと切ってしまうような感じ。 リンデンバークの演奏は実に気持ちがいい。 第1楽章の力が漲る場面でも、低弦をゴリゴリと響かせて力づくでねじ伏せるようなヤボはしない。 第2・3楽章の叙情的な木管楽器やホルンも余計なビブラートなどつけないし、第4楽章のピゥ・アンダンテのホルンも自信たっぷりで朗々と吹いているが全くクサくない。 このあとの弦の主題も自信に満ちていて清々しいほど。 このあと展開部のホルンが速射砲のように響き、コーダは怒涛のごとくオケ全体が鳴っているのだが、うるささを感じさせない響きの充足感をともなってのエンディングにむかう。
ブラームスの交響曲第1番は、4曲ある交響曲の中ではちょっと重たくて敬遠してしまうのだが、この演奏なら歓迎である。 さすがエラート・レーベルのブラームスの交響曲だけのことはあった。