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ヴァン・エルモン/モテット「燃える怒り」 |
バロック宗教音楽の秘曲(戻る)
早朝、NHK-TVの「名曲アルバム」でマショーのノートルダム・ミサが流れてました。
初めて一人の作曲によるミサ曲と紹介されていて、ああっ..いい曲だなぁ、と心が洗われるような気持ちになったので、以前集めていた宗教音楽のレコードをあれこれと引っ張り出してみました。社会人になって買い求めたLPレコードには宗教音楽がいくつかあって、いずれも堂島ワルツ堂にて捕獲した新品&中古レコードです。 世は既にCDの幕が開いていて、堂島ワルツ堂もまたCD売り場が日に日に広がっていったのですが、その狭まってゆくLP売り場の片隅より1枚ずつ丹念に抜いて、これは、と思うものを集めてました。 中古LPでも、この種類のものは程度良くて・・・ということは、あまり聴かれていないということなんですが、ヴェルサイユ楽派のドララントやカンプラを知ったのもこの頃です。 一時期けっこうハマってました。
さてこのヴァン・エルモン、カプリングされているド・クルーとともにネーデルランド楽派とかフランドル楽派というのでしょうね、18世紀のベルギーの作曲家です。 レコードの帯には「バロック宗教音楽の秘曲が、ここに甦る正に貴重なアルバム。」とのコピーがありますが、このレコード以外で、ヴァン・エルモンやド・クルーの名前を聞いた記憶がありません。 レコード解説には小さな文字で詳しい説明が記されてて、これを読みながら音楽を聴くのがまた当時の楽しみでもありました。 世界史の勉強も思い出したりもして悦楽の時間でしたが、悲しいかな老眼の進んだ今は、そんな気力が萎えてしまってますが・・・
しかし音楽はけっこう面白いのですね。 宗教音楽はちょっと・・・といって毛嫌いされる人もいるかもしれませんが、クラシック音楽の根っこは宗教とは切り離せないと思いますし、何より単純といっては失礼かもしれませんが、馴染みやすくもあります。
そしてこのヴァン・エルモンの「燃える怒り」。 ティムパニの陰鬱な打音で幕開けて、怒るのもわかるような開始なんですが、それに続く3重唱のアリアがまるでペルゴレージのようなイタリア風なのですね。 明るく力強く、各歌手が掛け合いのような感じで展開していて、とても気持ちがうきうきとしてきます。 これは歌手の方たちが伸び伸びと歌っているからでしょうね。 いずれも柔らかな声質で、刺激的な感じがしません。 オペラブッファみたいな掛け合いの楽しさがあります。
そして終曲は堂々とした演奏に合唱、トランペットも加わって力強く展開。 ここもまた聴きどころですね。 何を歌っているかは、歌詞カードを見れば分かりますが、音楽を楽しめればまずは良し。 素晴らしい音楽はそれだけで楽しいのです。 宗教音楽も音楽としてもっと楽しみたいですね。