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ノイマン/LGOのペールギュント

誠実なペールギュント(戻る


ノイマンといえばチェコフィル、だがチェコフィルと言えばアンチェルやターリッヒ時代は上手かった…と言われている。 また、ライプティヒ・ゲヴァントハウス管(LGO)とえばコンヴィチュニーの時で、マズア時代になって下手になった…と言われている。 しかしこの間にはノイマンが指揮していたLGOの時代があり忘れらがちであるけれど、このノイマン/LGOの録音は覇気に満ちて素晴らしい録音が多い。 特にベルリン・クラシックスのCDで聴けるマーラーの演奏など、どれをとっても素晴らしい演奏で、LGOがこれほどまでによく鳴るオケだったのかと驚かされるほどである。 そんな好印象を持つノイマン/LGOだが、ギュターヴ・クールベ(これも好きな画家)のジャケットのペールギュントが大阪駅前ビルの地下の中古屋で200円で放り出されていたので救出してきた。 これはマーラーとは少し違うが清冽さと確固たる自信が共存した素晴らしい演奏であった。 やや録音のキレが悪いのは国内盤だからだろう、この点がベルリン・クラシックスで聴く演奏と違う印象なのかもしれないが、特にドイツ語で歌われる「ソルヴェーグの歌」(アデーレ・シュトルテ)も、しみじみとした素晴らしい歌唱である。 原語主義など関係のない素晴らしさである。
冒頭の「ノルウェーの婚礼と行列」、ふくよかな低弦と柔らかな木管楽器が会話するさまは、質実剛健でゴツゴツしたというLGOのイメージとはちょっと違うが(これがノイマンらしい)、決してなよなよとはせずに確固たる音楽の運びがある。 「序曲、花嫁の略奪とイングリッドの囁き」での音の層の厚さはLGOだが流麗さを失わなわず曲をグイグイと進めていく。 重厚な「山の魔王の殿堂にて」や「オーゼの死」の弦合奏の上手さはいぶし銀と呼ばれるLGOの本領発揮、惹きこまれる。 続く「序曲、朝の気分」では一転してフルート、オーボエの清らかな響きが素晴らしく、弦の響きが層になって続きffでも優しさを失わずA面を締めくくる。「アラビアの踊り」のピッコロも愛らしく打楽器も軽快な楽章だがここでも弦楽器が重厚だが決してもたれることがなく聴き応えがある。 「アニトラの踊り」でも弦合奏が重厚さと流麗さをあわせもち、ややテンポを動かしながら情感をもたせた演奏だ。 そして「ソルヴェーグの歌」での切々たるアデーレ・シュトルテの歌が何より魅力的。 ぐいぐいと歌にひきこまれてゆく。 「序曲、ペールギュントの帰郷」は力強いが内に力がこもって抑えがよく効いた演奏で次ぎの「ソルヴェーグの子守唄」へと繋ぐ。 やはりここでのアデーレ・シュトルテの歌が素晴らしい。 慈愛のこもった歌である。 オケもしみじみと語りかけるようで清冽さをたたえた伴奏で曲を閉じる。 このレコード全体を通じて感じるのは何より誠実さである。 オケも指揮者も実に誠実にこの曲と向っている。 個々人の技量、オケの特質をことさらに強調するのではなく、オケ・ソリストが総体となってこの曲を演じている。 派手さには乏しいが、どれをとっても素晴らしい。 確固たる信念のようなものも感じさせてくれる演奏である。