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アンセルメのカルメン・アルルの女 |
アンセルメの魅力発見?(戻る)
以前にも書いたけれど、アンセルメはじつに男っぽい音楽をしてくれる。 スイス・ロマンド管弦楽団という、ロマンスを想わせる絢爛さ・柔らかさ・芯のなさ…なんていう印象でこれまで敬遠していたのが惜しまれる。 アンセルメは、オケをけっこう煽っているし、そしてそのオケの精度もまたそれほど高くない(要するに荒削りな)のもまた魅力的である。 そしてこのコンビで聴くビゼーの2つの代表作もまた、洗練されすぎない魅力を感じさせてくれる演奏内容に顔がほころんだ。
このレコード、ジャケットを見たら昭和39年に出たものであった。 ペラペラのジャケットだが、見開きになっている。 そしてその片方がレコードを入れるポケットのようになっているのがちょっと珍しい。 そして何より素敵なのがこのジャケット・デザイン。 黒地に真紅の薔薇の花、なんというカッコ良さ( ちなみに裏面もオレンジ色がかった別の薔薇の花)。 アンセルメによるこの演奏は定番だからいずれ欲しいと思っていたけれど、こんな素敵なジャケットのを見つけたので、もううきうきして買ってしまった。 レコード集めにはこんなジャケットの楽しみも大きい。
さて演奏に話をもどそう。 A面に「カルメン」組曲、B面が「アルルの女」組曲なのだが、ともに第1組曲を中心にして第2組曲も加えた独自の構成となっている。 今ならCD1枚にこれらの第1・2組曲が楽々入るのだろうけれど、LPレコードではこのあたりで限界なのだろう。 さて「カルメン組曲」は冒頭の第1幕への前奏曲がとても気合が入った演奏で、派手にシンバルを打ち鳴らし、いきなりガンガンっとやってくれる。 だけどアラゴネーズでのオーボエ、第3幕への間奏曲でのフルートの響きなど、ちょっと独特な憂いを感じさせ、全体的な印象としても、どことなく引きずるような重みというか素朴さを感じさせてくれる。 現代のオケでは、とことん繊細に演奏したり、甘美的になるのかもしれないけれど、男アンセルメ(と敢えて呼びたい)はそれを許さなかったのかな… などと想像してみたりもする。 ラストの第2幕のジプシーの踊り、これもトランペットがちょっと甘い響きなんだけども、泥臭い感じやな・・・と思っていたら最後はすごいスピードで全てのものを拭い去るかかのように駆けぬけて終わった。 面白い。
盤をひっくりかえして、今度は「アルルの女」。 冒頭の前奏曲こそ中音弦(ヴィオラ?)の深い音がねっとりとしている。 しかし全奏になるとフレーズをスパスパと断ち切るかのような縦ノリのリズム。 これで驀進したかと思うと、サキソフォンがまた独特な響きにまたうっとり。 そこではっと気付いたのだが、管楽器やソロ楽器になるとフランス系、でも全奏になると意外とドイツ的で力強く進んゆくのではないだろうか?? う〜んんん、そんなことを思いはじめたらカリヨンやファランドールもそんな風に思えてくるから不思議。 こんなアンバランスさってのがアンセルメ/スイス・ロマンド管の魅力なのかもしれないなぁ・・・などと思ってみるもののよくわからない。 ただ、とにかくアンセルメが面白く、これからも注目すべき指揮者だってことは確かだ。
「カルメン」組曲 | |
1 | 前奏曲、第1幕 |
2 | 前奏曲、第4幕(アラゴネーズ) |
3 | 前奏曲、第3幕(間奏曲) |
4 | 前奏曲、第2幕(アルカラの竜騎兵) |
5 | 密輸入者の場(第3幕) |
6 | ハバネラ(第1幕) |
7 | 衛兵の交代(第1幕) |
8 | ジプシーの踊り(第2幕) |
組曲「アルルの女」 | |
1 | 前奏曲 |
2 | メヌエット(間奏曲) |
3 | アダージョ |
4 | カリヨン |
5 | メヌエット(第3幕) |
6 | ファランドール |