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バルビローリ/ハルレ管のブラームス交響曲第4番 |
独特のフレージングと熱気(戻る)
パイ録音のバルビローリの演奏はどれも独特の味わいを持っている。 今回500円で捕獲したブラームスの交響曲第4番も随所にそんなバルビローリらしい味が滲み出ている。 またオケはEMI録音のウィーンフィルのような豊穣さでは劣るものの、長年付き添った手兵だからこそ描きだせる共感を持った熱い演奏を聴かせてくれる。 しかし、ピチカートではっきりした拍を聴かせながら、メロディはひたすらレガートして音を繋いでいたり、それが独特なフレージングだったり、好みが分かれるところだろう(バルビローリ好きにはたまらない魅力だろうが)。 しかし深さと熱さが自然と湧きあがってきて、純ドイツ風の剛球一本槍な演奏とはまた一線を隔したバルビローリのブラームスだった。
第1楽章の冒頭の哀愁を帯びたヴァイオリンの主題はオケの精度から萎びた感じを受けるが次第に演奏全体に熱気がこもってくる。 ここでもやや合奏精度に荒さも感じるけれど、縦の線を揃えることよりも横の響きを重視するバルビローリならではのウォームな音楽が展開されている。 ウォームといっても決してムーディに流されているのではない。 終結部の決然としたティムパニや低弦の自信を持った響きが印象的である。 第2楽章冒頭のホルンはやや軽く遠い響きだが、フリギア旋法を用いた木管と弦楽器のピチカートは重厚である。 チェロによる第2主題もややあっさりと出てくるが、対旋律を歌うヴァイオリンなどがちょっと重めに絡んでくるなど、ある部分でははっきりとした拍を聴かせることもあるが、メロディはひたすらレガート。 音を繋いで繋いで自然と盛り上げていく。 第3楽章は力をこめた第1主題を呈示。 しかしあとは前の楽章と同様に響きを対比させて深く熱く演奏が進む。 そして終楽章はちょっと重めの低弦楽器にのって、ゆったりと進んでいく。 やはり縦の線には無頓着な印象を受ける。 ひたすら横の響きを確かめながら曲をじっくりと進めているような感じだが、コーダに向ってエネルギーがどんどんと発散されてくるにつれ、縦の線が明瞭になってくる。 しかし今度はどことなくぎこちなさを感じ始める。 オケの精度の問題だろうか、どこかちぐはぐな感じである。 しかしそのオケ自身は、バルビローリに必死について演奏しており、これはこれで非常に熱い演奏になっている。 そしてエンディングは力を漲ぎらせて盛り上がるが、響きを切って媚びずに終わった。