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バルビローリのR.V.W.「ロンドン交響曲」 |
雰囲気をじっくりと楽しみたいレコード(戻る)
共感にあふれた演奏って、まさしくこのような演奏のことを言うのでしょう。 しみじみと味わえる演奏です。 夜明けのテムズ河、徐々に明るくなってウェストミンスター橋の上でビッグ・ベンの鐘の音が時を告げる・・・レコードにそんな解説文を寄せられている故三浦淳史さんの筆致もまたとても愛情に満ちています。 ジャケット写真はウェストミンスター橋でしょうか、これもまたなかなか良いデザインではないでしょうか。 レコード聴きながら至福のひとときを味わっています。
これはテイチクの1000円盤(ただし僕が買った時には1300円になってました)シリーズの1枚。 当時ヴォーン・ウィリアムズをラインナップに加えていた廉価盤シリーズはこれだけで、このほかにあった UDL3108Y の交響曲第8番とともに愛聴盤です。 CDではこの2曲が1枚になって出ていたようですが長く廃盤になってしまっているようですね。 とても残念です。
この曲の解説によると、ヴォーン・ウィリアムズはロンドンを標題にした音楽ではなくロンドン人によって書かれた交響曲とみなして欲しい、と言っていたとのこと。 しかし随所にちりばめられたメロディはまさしくロンドンという大都会の一日ですね。 あるときは喧騒を伴い、あるときは哀愁に満ち、またあるときはダンスの音楽となって活写されています。 バルビローリはこれをテクスチャを細かく描くのではなく、じつに大づかみな雰囲気で流しています。
いつものバルビローリの演奏スタイルといえばそうなのですが、普段着のロンドンっていう匂いがするように感じるのは僕だけでしょうか。 もっともロンドンには行ったことがないので何が普段着なのかじつは分らないのですけどね(苦笑) ま、大阪人が描く大阪と他の地方の方から見られた大阪が微妙に違っていることの経験からな〜んとなく想像しています。 壮大なロンドン讃歌ではないことだけは確かでしょう。 雰囲気をじっくりと楽しみたいレコードです。