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クナイスのブロックフレーテ名曲集 |
ひたすら誠実な演奏(戻る)
クラシック音楽を聴き始めた頃、おりからのバロックブームとなっていた。 イ・ムジチの四季がベストセラーを続けていた頃である。 FMでは「朝のバロック」という番組もあったし、フランス・ブリュッヘンのブロックフレーテがFMでよくかかっていた。 僕もブロックフレーテのレコードが欲しくて廉価盤でようやく探し当てたのがこのハンス・マリア・クナイス盤である(テイチク廉価盤 \1,300円. オーバーシーズ・レーベル/Original Recording & Licensed by SYMPHONY TONE PURODUCTIONS)。
ハンス・マリア・クナイスは 1943年生まれであるから、1934年生まれのブリュッヘンよりも9歳若い。 しかし演奏はブリュッヘンよりもかなり地味である。 それでもどの曲もとても整った演奏であって、ラ・フォリアは飽きるほど聴いたものである。 変奏曲の楽しさを知ったのもこのレコードである。 個人的にとても思い出深い1枚なのだが、世間的な評価はほとんどなく、唯一「教師の演奏」といったのを目にした記憶がある程度である。 そう言われてみると、確かにくそ真面目に曲をこなしているような印象がある。 しかし、ここまでひたすら誠実に演奏しているのもまた見事ではないだろうか。 ブリュッヘンのように演奏に華を感じさせることはないが、決して怠惰で聞き手を飽きさせるような演奏ではない。 テレマンやビガリアのソナタもひたむきで真摯な演奏であるし、ヴィヴァルディもまた上っ面の華やかさをおさえ、じつに落ちついた魅力を醸し出しているように思う。 まさに「忠実な羊飼い」のさまである。
曲目は以下のとおり。
A面 コレルリ ブロックフレーテと通奏低音のためのソナタ ト短調 作品5-12 「ラ・フォリア」 テレマン ファンタジア ハ長調 テレマン ブロックフレーテと通奏低音のためのソナタ ヘ短調 B面 ビガリア ソプラノブロックフレーテと通奏低音のためのソナタ イ短調 エイク 涙のパヴァーヌ ヴィヴァルディ ブロックフレーテと通奏低音のためのソナタ ト短調 作品13-6 「忠実な羊飼い」 第6番