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ノーマン・デル・マーのディーリアス「ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲」

青春の曲、追憶のコンチェルト、(戻る

青春の曲を挙げろと言われたら色々と出てくると思うけれど、このディーリアスの「ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲」は確実にその中の1枚です。 高校生のとき、本当によく聴き込みました。 当時、好きな曲ランキングを毎週のようにつけていましたけど常に第1位。 演奏については、当時はよく分からなかったけれど(今でも分かっていないのですけど)、メニューインとトルトゥリエを独奏者にした東芝EMI盤よりも格段に熱い音楽を聞かせてくれます。 思い入れも強いのですけど、デル・マー指揮のこの盤、なかなか感動的な演奏です。

ディーリアス(当時はデリアスと表記)との出会いは、テイチクの1,000円盤LP。 バルビローリ指揮による「田園詩曲」(UDL-3101)です。 とにかくこのレコードには「イルメリン」前奏曲、「春はじめて郭公を聞いて」、「フェニモアとゲルダ」間奏曲、「楽園への道」などのディーリアスの有名な小品が含まれていて、ああ世の中にはこんな素適な音楽もあったんだなぁと思いながら聴いていたものです。 以来、英国音楽に興味を持ち、同シリーズのR.V.ウィリアムズのLPも買って満足していました。

でも廉価盤で入手できたディーリアスのレコードは上記UDL-3101だけ。 もっと聴きたいのに・・・と思っていたとき、同じくテイチクから1,500円盤LPシリーズの一つとしてリリースされたこのレコード。 飛びつきましたね。 僕と同じような経験をされていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。 そして多分皆さん三浦淳史さんのファンであることだろうと思います。 僕もそうなのですけれど、今回それは置いておくことにしましょう。

さてこのレコード、飛びついて音楽は気に入ったものの・・・ノーマン・デル・マー指揮って誰なの?、ヴァイオリンのレイモンド・コーヘン?、チェロのジェラルド・ウォーバーグ? 自分の耳に自信が持てないので他人の評価に目がゆくものですけど、誰も何も言っていません。 評価に値しない演奏なの・・・と自信が持てませんでした。 でもね、好きなんです、この演奏。 頼るのは自分の耳と感性だけ・・・って後年のPILZ探検隊と同じ状況ですね。

ところで東芝EMIよりリリースされた「音の詩人・ディーリアス1800」シリーズ。 貧乏な帯広の学生時代にリリースされたようです。 当時1,800円のLPは高価でしたし、またその後、就職して東京での寮生活。 この2年間は寮部屋にステレオを置ける環境ではなく、また最後の1年は仕事も超多忙を極めてました。 そっくり音楽の記憶が抜け落ちています。 ようやく最近になり、この「音の詩人・ディーリアス1800」シリーズのLPを中古で買い集めています。

もちろん期待して買った「追憶のコンチェルト」(EAC-50105)。 こちらは名手メニューインとトルトゥリエが独奏者。 知名度抜群な録音なんですけど・・・大人しい表現に大いに戸惑ってしまいましたね。 確かにディーリアスのイメージって、このように穏健で、ヒーリング的なのものかもしれませんけれども・・・思い入れが強いのかな、こんな演奏じゃなく、根っこはもっと熱い音楽だという想いが断ち切れないんです。

テイチク1,500円盤。 指揮者のノーマン・デル・マー、最近ベートーヴェンの交響曲でお馴染みのベーレンライター新版の校訂者ジョナサン・デル・マーのお父さんですね。 このノーマンさんもR.シュトラウスの評伝全3巻を刊行しているそうです。 父子揃って学者肌なのでしょうね。 でも冷たい演奏ではありません、冷静だけど、熱い想いを伝えてくれます。 そして独奏者、ジャケットの解説に「この録音当時(1966年?)それぞれの首席奏者を務めていた」との記載しか分かりませんけれど、このお二人ともフレーズの終わりに想いを乗せ、歌い込んで聴き手をグッと惹きつけます。 技術的なことは全く分かりませんけれど、実に熱い演奏を聴かせてくれます。 もちろんロイヤルフィルとも息が合い、またビーチャム時代により近いせいでしょうか、粘っこい響きでなかなかどうして感動的な演奏。

追憶のコンチェルト、僕にとってはディーリアスへ熱い思いを持っていた時代の追憶・・・このところまた聴き返していて、まだ現役。 この熱い音楽にシビレています。