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オーマンディ/フィラデルフィアのピーターと狼、青少年のための管弦楽入門 |
安心して楽しめる柔らかさ・華麗さ、そして巧さ(戻る)
ゴージャスなフィラデルフィア・サウンドと言われていますけれど、響きの軟らかさがとても心地良い演奏です。 ソロイステックな面はもちろん、アンサンブルの巧さで安心して楽しめます。 またジャケットが漫画になっているのが可愛らしくて好きです(ODYSSEYの輸入盤)。 クラシック音楽の入門用レコードなのでしょうけれど、何歳(いくつ)になっても楽しめる演奏です。
このレコード、今は無き数寄屋橋のハンターで3年くらいまえに捕獲したんじゃないかな。 この時は、まだまだオーマンディへの偏見が強かった頃でした。 購入理由の一番は、ジャケットが可愛らしかったから・・・で、次ぎに、このような入門曲ならオーマンディにはうってつけだしな、ってことでした。 とにかくハズレの演奏ではないでしょう、なんていう安易な気持ちですね。
「ピーターと狼」なら、バーンスタインが自ら語りを入れたニューヨーク・フィルとの演奏。 「青少年のための管弦楽入門」ならば、作曲者のブリテン自らがロンドン交響楽団を振った演奏。 これにトドメを刺す・・・ みたいな事を訳知り顔で言ってたころでした。 確かにこれらの演奏は、ちょっと特別な意味合いを持っていることは確かだと思います。
でも、オーマンディによる演奏。 それらと比べてると、格段に安心できる演奏だと思います。 とにかく最初に耳に飛び込んでくる楽器の響き、いずれのフレーズも角が取れて、とても耳あたりの柔らかい音ですしね。 そしてクライマックスでぐっと盛り上がる部分、力が漲ってきても響きの木目の細かさは変わらずに艶がのってきます。 そして、音楽って愉しいよなぁ、なんて思えてくる演奏です。
そして、このような聴き易い演奏って、本当はとてつもなく難しいことじゃないかってことに最近になって気付きました(遅すぎですね)。 何事もそうなのかもしれませんけれど、難しいことを難しいのだと思わせてしまう事よりも、実は難しいことをしていても、まったく難しいとは感じさせない事のほうがより高度なテクニックが必要ですものね。
オーマンディとフィラデルフィアによるこのレコードを聴いていると、ついそんなことを思ってしまうのですけどね、その薀蓄を語るよりも、スピーカーから流れ出てくる音楽に身を任せましょう。 そして幸せな時間を過ごしたいと思います。 そうすることのほうが、人生をより豊かにしてくれると思いますので。 幸せな時代の幸せな演奏かもしれませんね。