安田の部屋へようこそ 〜 クラシック音楽(BQクラシックス)やフロンテクーペ、南沙織など「裕隆の部屋」を中心にした家族のページです。 ブログ「アマオケ大好き、クラシック大好き」も始めちゃいました。
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POP Music (秋本奈緒美)

いつもクラシックばかり聴いているわけではありません。
歌謡曲、洋楽なども聴いていますが、中途半端に古くてマイナーなのばかりです。
秋本奈緒美さんのLPを
POP Music(ニューミュージック編)から独立させました。

秋本奈緒美アルバム・リスト

ROLLIMG 80's (1982)
ONE NIGHT STAND (1982)
THE 20th ANNIVERSARY (1983)
4 SEASONS (1983)
POISON 21 (1984)
ACT 13 (1984)
水彩画 (1984)

ROLLING 80's (秋本奈緒美) 1982年

今では女優の秋本奈緒美さんのデビューアルバム。 ティーン・エイジ・ロマンティック・ジャズとサブタイトルが付いているとおり、18才の秋本さんの歌声が聴けるアルバムです。 楽曲を楽しむにはちょっと無理を感じるアルバムで、実験的と言ってもいいかもしれません。
まず、このアルバムが出た1982年当時。 阿川泰子真梨邑ケイなどの美人ジャスシンガーがもてはやされていました。 そこに、なんと10代でジャズを歌う秋本さんが登場。 その美貌(可愛らしさ)で一躍オジさん達のアイドル的な存在になっていたのを覚えています。 もっとも僕はまだオジさんじゃあなかったし、興味なかったんですけど、歌が下手だっていうことはFMラジオで聴いて知ってました(こんなのジャズじゃない、という批判もありましたね)。 まったく関係ない世界の音楽って感じでしたけど、ふっとしたことから・・・今は無き数寄屋橋ハンターで叩き売られていたの手にしたわけですけど・・・最初の結婚で歌手引退されるまでの全アルバムを集めるほどにハマっております。
前置きが長くなりました。 このアルバム、全曲ジャズのスタンダード・ナンバーに亜蘭知子の訳詞をつけて歌われています。 が、原曲の面影はほとんどありません。 「
雨に唄えば」「二人でお茶を」「誰かが誰かを愛してる」「チーク・トゥー・チーク」なんて、ジャス・ファンではなくても、ちょっと洋楽が好きな人はメロディが口をついて出てくると思いますけれど、えっ、ってな感じに崩されています。 サウンド・プロデュースと編曲は清水靖晃さん。 前衛的というか、実験的なアレンジでしょう。 しかも秋本さんの歌。 力を抜きすぎです。 お色気たっぷりとまではいかないけど、どこか媚びるような感じにも聴こえます。 キバって朗々と歌い上げないところは大好きなんですけど、この媚びがちょっと・・・という感じで、かなり違和感を持ち、拒否反応もあります。 でも哀しいかな、オジさんになったのでしょうか。 何度も聴き返していくうちに、若き秋本さんの魔の手に絡め取られてしまいそうな危なさを感じるこの頃です。(2004.11.28)

 

ONE NIGHT STAND (秋本奈緒美) 1982年

女優の秋本奈緒美さんのセカンドアルバム。 やはりTEEN-AGE ROMANTIC JAZZのサブタイトルが付き。 19才の秋本さんの歌声は、ずいぶんと洗練されて聴き易いジャズ系アルバムになっています。
このアルバムも全曲ジャズのスタンダード・ナンバーに亜蘭知子の訳詞をつけています。 前作の実験的なプロデュース&アレンジの清水靖晃さんから、笹路正徳にバトンタッチ。 ブラスを効かせたビッグバンド調やベースやシンセを強調したフュージョン調のアレンジを使って、秋本さんの抜いた声を巧く歌わせています。 「
On a slow boat to china」からゴキゲンな感じで歌ってます。 「Sing sing sing」はチョッパーベースかしらビックバンド調とコンボ演奏をミックスしたアレンジでいいんじゃない。 「It's a sin to tell a lie」「It's always you」はストリングスによる落ち着いた開始、抜いた声で歌うけれど、その声にはまだ子供っぽい若さも感じられてカワイイって感じ(やはりアイドル路線かな)。 「Come rain or come shine」はフュージョン調。 ここでは抜いた声に伸びもあってけっこう巧い歌い廻しじゃないかな。 これからの路線を暗示させるような歌でしょう。 
盤面代えて「
Alexander's ragtime band」はバンド演奏。 今後の路線はこんなアップテンポなんだけど、ちょっと声に張りが足りなくまだ発展途上かな。 でも2曲目の「Speal low」、ベースラインを強調したアレンジに妖しい歌声が語りかけてきて、とても好きだな。 「Lullabye in ragtime 〜 Good night sleep tight 〜 The five pennie」は一転、軽やかで明るい歌声でのララバイ(子守唄)のメドレー。 心も軽くキモチイイ。 「The boy next door」シンセを使ったちょっと不思議なアレンジとともに歌う明るめのスローバラード。 そして最後の「Tennessee Waltz」はシンセを使った実験作。 歌声もブチ切れ。 変わったことをしたかったのかな〜って感じかしら。 
蛇足ながら、前作に続いて聖子ちゃんカットみたいな髪型が時代を感じさせますけど、ここでの歌は時代を超えて楽しめるんじゃないかな(2004.12.4)

 

THE 20th ANNIVERSARY (秋本奈緒美) 1983年

秋本奈緒美さん20歳記念サードアルバム。 さすが3作目になって歌唱力が大幅にアップ、いいアルバムに仕上がっています。 「ポップスパイスのきいたエキゾチック・ジャズ・センセーション」のサブタイトルが付いてますけど、個人的にはジャズフレーバーを効かせたポップアルバムといった感じかな。 いいアルバムだと思います。
オリジナル全10曲、作曲家の名前には外国人名が多くありますけど(すみません)よく知りません。 歌詞はこれまでどおり全て亜蘭知子。 プロデュース&アレンジは入江純に交代して、フュージョン色が強まっていてカッコ良さが全面に。 またバック演奏もいい味だして、それにのかって伸び伸びと歌う秋本さんがいい感じです。 なおA-2,5曲目には布袋寅泰も参加しているのを発見しました。
A面、ビックバンド風の出だしから重厚なロック調の唸りを入れたあとジャズ調に戻って「
ENJOY YOURSELF」は明るいジャズボーカルで軽やか幕を開けるって感じ。 「SILENT COMMUNICATION」はグリコのCMにも使われた曲だそうです(覚えてませんけど)。 爽やかな色香を感じさせるジャズ(風)バラード。 「BEWITCHED (ARE YOU LEAVING SOON)」シンセを効かせたフュージョン調アレンジに女性コーラス(EVE)を従えて抜いた声で歌って素敵です。 「SWEET SURRENDER」も抜いた声で歌うバラードにフュージョン調アレンジがいい感じ。 「MISTY LIKE THE WIND」ミディアム・テンポになると歌声も軽やかで伸びやかになるみたい。 前半を締めるのにちょうどいい充実感がある歌です。 盤面をひっくり返したくなります。
そしてB面、「
BEGINNIG」がアップテンポでじつにカッコイイ。 後の秋本さんの歌のスタイルはここから出ている感じでしょうか。 続く「WHY AIN'T YOU A BACHLOR ?」はスローになって、冒頭「両切りの Camel を口にくわえ」の歌詞、特に「Camel」の歌い崩しにドキっとする色香を感じます。 Camelのタバコなんて吸ったことないですけども。 「JOYFUL DIXIELAND」は一転してカワイイ声で甘く明るく歌い、「RUSSIAN ROULETTE」では題名から想像するように暗く妖しく歌い始めますけど、途中の回想シーンでメジャーに転調したときの自然な明るさへの移行、歌の表現力の幅がグンと広がっているのを感じます。 「NO ONE EVER LOVED YOU SO」チャカポカと鳴っているバックの上を緩やかに、別の恋人をつくって離れた恋人を思い出し「すべて許せる」と歌ってます。 この曲、今歌ったらもっといい感じになるんじゃないかな(2004.12.5)

 

4 SEASONS (秋本奈緒美) 1983年

今では影のある女優として活躍している秋本奈緒美だが、1982年に19歳で美人(カワイコちゃん)ジャズ・シンガーとしてデビューしていて本作はその第4作目。 デビュー時には、あれはジャスじゃない、と散々叩かれていた(確かにあの頃のレコードを今聴くと辛いものがある)。 しかし4作目まで来るとジャズの呪縛から解き放たれて、独特なノリの良さと危うさの魅力があって面白さが出てくる。 詞は訳詞も含め当時売れっ子の亜蘭知子が担当していて売れ線狙いだろうか。 しかしこのアルバムの最大の特徴は岩本正樹によるシンセンサイザーを多用した編曲で、ここで好みが分かれるところだろう。 しかしこれに馴染めば結構面白いアルバムだと思う。 テクノポップ調で始まるA面トップの「CAPRICORN WOMAN」やB面3曲目の「JINX」はいい歌だと思うのだが音をブチ切れにするアレンジは個人的にやりすぎと思える。 続く「DANCE,SHALL WE DANCE」もテクノ調、アップテンポの「DREAM FIRE」はフュージョン系アレンジだが、ともに歌の不安定さが、怪しい雰囲気を醸し出しているみたい。 B面トップもタイプライターかレジスターの音を模したシンセの伴奏が騒々しい「BAD IMAGINATION」だが、この不安定な伴奏と歌が絡み合って独特な雰囲気である。 ラジオっぽく音域の両端をカットしたイントロから始まる「HONEY BEE」はノリの良い歌。 「SORRY」はフュージョン系のアレンジ、ラストの「STAY WITH ME」がオーソドックスなアレンジになるが、ともに伸びやかな歌唱が大人っぽい。 特に後者は伊達にジャズ・シンガーと名乗っていなかったよ、って言ってるみたい。 やっぱり声量はそんなにないのだけれど(個人的にきばって歌うのが嫌いなのでこおいうのが好き)。 とにかく秋本さん、また歌ってくれないかな。 (2002.7.21)

 

POISON 21 (秋本奈緒美) 1984年

秋本奈緒美さんの5作目は、21歳にちなんでか「POISON 21」というタイトル。 毒ですか。 しかしこの毒、とても良い感じに昇華されたアルバムの薬になっています。 シンセサイザーを巧く使ったノリの良いバックを従え、歌唱力もなかなかのものです。 デビュー盤から続けて聴くと、短期間にこれほどまでになるのか、という感じも持ちます。 もっともデビュー盤のジャス路線と、このアルバムでのポップな内容とでは随分違ってきているので、比較するのは間違っているかもしれません。 とにかく個人的にはこのアルバムが秋本さんの頂点だと思っているアルバムです。
全10曲中、4曲が秋本さんによる作詞、残り6曲は亜蘭知子。 Executive Produced by 長戸大幸東元晃、Produced by 星加哲、Sound Produced & Directed 中島正雄 とクレジットされています。 参加ミュージシャンもフュージョン系、全体的にシンセサイザーを強調したサンウド作りがカッコ良く決まっています。
A面、弾けるようにドラム、シンセが入ってきていきなり全開。 カッコ良く「
TONITE」が始まります。 これは秋本さんの作詞ということもあるのでしょうけど、歌にコントロールが巧くかかっていて、自在に声を操っているなぁという印象。 ほんと巧くなりました。 「MISING YOU」(詞:亜蘭知子)もアップテンポでノリノリ。 「THE WAY YOU LOVE ME」(詞:秋本奈緒美)は繰り返される WAY YOU LOVE ME の歌詞がビートにのって心地良いですね。 ブラックっぽい音楽なんですけどドロドロになって暗く沈み込んでしまわないところに秋本さんのしなやかさが出ていると思います。 「MY LOVE CAN ONLY GROW」(詞:亜蘭知子)は一転バラード。 声を抜いてデビューしたころのようなお色気っぽい歌い方なんですけど、しみじみと歌い上げるところもまた巧さを感じます。 で、そのお色気っぽのは「LAKE DIMENSION」(詞:秋本奈緒美)で健在です。 
B面、パーカッションとシンセによる南洋調のリズムで始まる「
TRICKY」(詞:亜蘭知子)、謎めいた歌詞もエキゾティック、軽やかで妖しい魅力が光っています。 「LION IN MY POCKET」(詞:亜蘭知子)はシンセが鼓動のように脈動し妖しさもまた一段と、これってテクノポップですね。 この頃の日本のポップスはカッコよいのが多いな。 「TELEPATHY」(詞:秋本奈緒美)
もテクノポップ調の開始から、リズムを強調した軽くしなやかなノリの良さがゴキゲンです。 重厚な感じの「
AUTO CHANGER(SHUT OFF)」(詞:亜蘭知子)、ベースラインはシンセでしょうか、ちょっと実験っぽくもあるけど巧く聴かせてくれます。 シンセ・ドラムの音に続いてエキゾチックなジャングルを想像させる「AMAZON」(詞:亜蘭知子)、最後はバラードで締めくくります。
サウンド志向なアルバム作りと、秋本さんの歌の魅力が見事にマッチしたアルバムだと思います。 ああ、続いて「ACT 13」も聴きたくなるなぁ。(2005.1.16)

 

ACT 13 (秋本奈緒美) 1984年

ちょっと前、上沼恵美子の土曜朝のTV番組に秋本さんが出てました。 何かの時に「私、歌手でデビューしましたから・・・」と言ったら、上沼さん(ま、視聴者サービスもあるのでしょけど)大いに驚いて・・・あろうことか「代表作というか、どんな曲名の歌を歌ってたんですか?」という彼女らしいズバっとした質問に秋本さんは大いに困ってました・・・ぉぃ!。 「アルバムデビューでしたから・・・」と言葉を濁してはにかんだ秋本さんでましたが、確かにもう20年も前になってしまうのですねぇ・・・
さて「ACT13」は1984年6月22日中野サンプラザでのライヴ録音盤です。 このあと「水彩画」という前衛的なアルバムを出しただけですから、これはベスト・アルバムといっても良いでしょう。 ちなみに「水彩画」で全曲の作・編曲とプロデュース(秋本さんも共同プロデュースでしたが)した人と結婚されたことが歌手引退の道に進んでしまうのがとても残念です。 おっと、話を戻して「ACT13」なんですが、ここでは Keybords、Drams、Bass、Guitar、Sax というシンプルな編成を従えて実にノリの良い歌を聴かせてくれます。 デビュー当時に歌っていたジャズのスタンダード・ナンバーはアンコールで歌った「
SING,SING,SING,」と「Take The 'A' Train」のみ。 それもチョッパーベースに導かれて歌うアップテンポでハイ・テンションなアレンジです。 秋本さん自身が作詞した「LAKE DIMENSION」「TELEPATHY」「TONITE」がとってもイイ感じですね。 あと亜蘭知子作詞の「TRICKY」からメドレーで歌う自身作詞の「THE WAY YOU LOVE ME」など、堂々としてて風格すら感じる歌いっぷりです。 そして「BEGINNING」ではちょっとシャウトしたりなんかも。 また「CAPRICORN WOMAN」や「DANCE,SHALL WE DANCE」は、オリジナル・アルバムではテクノ調なアレンジでしたが、バンドを従えたこのアルバムのほうがノリも良くって好きですね。 とにかく相変わらずというか、より今のほうが美しくなったと思える秋本さん、また歌ってください。 (2003.7.13)

 

水彩画 (秋本奈緒美) 1984年

秋本奈緒美さんのラストアルバム。 この後、このアルバムのプロデュースおよび作編曲をした日向大介氏と最初の結婚となります。 作詞は全曲秋本さんが担当し、シンセサイサイザー多用のアルバムは演奏もベースギター以外はプログラミングされた(?)ドラムも含めて日向氏が担当。 もし自分が秋本さんをプロデュースできる立場になれたら、こんな風に彼女を独占してみたい気持ちも分かりますけど、かなり実験的な作品群となっています。 でも秋本さんは抜いた歌声でけっこう頑張っていると思います。 アップテンポの曲では彼女らしさを感じるのですけど・・・でも結婚して歌手を辞めてしまったというわだかまりを感じるためか、個人的にはあまり馴染みのないアルバムになっています。
まず、歌詞カード。 秋本さんと思われる手書き(ペン習字みたいな字)なのにちょっと驚きます。 全曲秋本さんの作詞。 シンセの響きが遥かを感じさせる「
ざわめき」から始まります。 歌は囁くようでサウンド中心、歌詞を歌っているのは分かるけど、言葉が印象に残らなくてすっ〜と過ぎてゆくような感じ。 「仮実酒」になるとシンセドラムで軽快だけど、やはり歌詞は区切って歌ってて音楽の一部みたい。 それはそれでいいことなのでしょうけど埋没気味で印象薄いなぁ。 「」になって、スローバラード風に歌い始めて、気持ちのこもった歌声で救われます。 でも間奏のディストージョンを効かせたギターの音が耳障りに聞こえるのは何故(個人的なわだかまり?)。 「次なる時空」はシンセの曲、歌詞は囁きでほとんど聞こえません。 「目覚め」、ベースの響きを鼓動のように響かせた上を、区切った歌詞を歌うと、それにユニゾンでシンセが合わせています。 ピークもなく終わってA面が終了。
B面、瞑想的でしめやかに歌っている「
過去からの情景」にシンセがなんだかガチャガチャと鳴っているみたい。 スタジオライブ風の「緑の花」がテンポがあってノリの良さの片鱗を感じさせます。 これが一番秋本さんらしいと思うけど、でも区切って歌ってます。 「十六夜の月」もインターミッションでしょうか、「次なる時空」と同じ感じ。 「物語り」はハモンドオルガン風のシンセで軽やかに囁くように歌ってから終曲でもありタイトルナンバー「水彩画」。 これは歌詞が書かれていますけど、まったく歌わず、日向氏のピアノ(Steinway Type B Grand Piano(1906))ソロで終わり。 えっ、と思っていると、歌詞カードの最後に書かれた「ありがとう」とつぶやくような秋本さんの声でおしまい。 引退の決意だったのでは、と想像するばかりです。(2004.12.26)